あなたに恋をしたらダメですか？

「でも咲世。一つだけ、お姉ちゃんと約束して？」
「うん…」
「好きでも構わない。でもそれは咲世が、楽しい恋愛なら」
「楽しい恋愛…？」
「そう。もしそれが咲世にとって、悲しかったり苦しかったりする恋愛なら、その時は新しい恋をすること」


悲しかったり、苦しかったり…か。きっと陽悟さんが遊び人だから、いつかそういう時が来るって、お姉ちゃんは思ったのかな。


確かに今は楽しいもんね。だってまだ陽悟さんが、遊び人だって事実を見たわけじゃないから。


「うん、分かった…。その時は、頑張ってみる…」
「うん。でも、咲世？まだ咲世が遊ばれるかなんて分からないじゃない？もしかしたら、咲世と出会って彼が変わるかもしれない。だから、やれることは精一杯やりなさい？」


そっか…。やれること、私にできること、精一杯頑張ればいいんだ！


それでも陽悟さんが、こちらに振り向いてくれなければ、おしまい。ゲームオーバー。


「うん！ありがとう、お姉ちゃん！やれることは、やってみる！智明さんも、応援してくれる？」


少し不安げに智明さんを見れば、小さくため息をついた後、ゆっくりと頷いた。


「分かったよ、応援する。けど、咲世ちゃんを泣かせるような男は俺は許さない！」
「やだ、ともくん！お父さんみたいだよ？」
「咲世ちゃんのお父さんみたいなもんだろ。な、咲世ちゃん？」


いや、智明さんがお父さんだったら15で私を産んでることになりますが…。ってことは、心にしまっておいて、笑いながら頷くことにした。