あなたに恋をしたらダメですか?
「未知子さん、私上がりますね?」
「あー、ごめんねぇ。今日もお疲れ様、気を付けて帰ってね!」
「はい、勇太くんバイバイ」
「さよちゃん、ばいばい!」


勇太くんはお母さんが大好きだから、親子だけにしてあげたくなるんだよね。


お店の裏口から外に出ると、気持ち良い風が吹いてきた。


もうすぐ、こどもの日かぁ。って言っても、子供のいない私にはあまり関係のない日なんだけど。


25歳ってまだ若いと思ってたけど、同級生の友達は、ほぼ結婚して子供もいたりして。


私なんて彼氏いない歴25年だから、本当大丈夫なのかな?って心配になっちゃう。


未知子さんには「ゆっくり探せばいいの」なんて言われるけど、ゆっくり探してたら、おばあちゃんになってそうだよ…。


そんな私には、今気になっている人がいる。好きとかじゃない。まだ気になってる段階だ。


この近くに〝ブリーズ〟という、ちょっとお値段の高い飲食店があって、この前興味本位で一度だけ入ってみたんだ。


ちなみにブリーズとは、フランス語で〝そよ風〟という意味らしく、メニュー表にそう載っていた。


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