あなたに恋をしたらダメですか?
私より興奮して席を立ち上がった緋紗子さん。そして私をギロっと睨み付けてきた。


「断りなさいよ」
「え?」
「陽悟を変なことに巻き込むなつってんの!」
「あ……」


って、そんなこと言われても私は陽悟さんが好きだから、デートなんて嬉しい話だし、でも迷惑はかけちゃうよね…。


「あの、陽悟さん、」
「緋紗子は俺のなに?」
「え…?」


私が断ろうと陽悟さんの名前を呼ぶと同時に、陽悟さんが緋紗子さんに問いかけた。


「なにって、私は陽悟の、」
「彼女とか言っちゃう?俺、いつ彼女にした?してないよね?」
「っ、」


緋紗子さんは、何も言えずに黙ってしまった。


「俺を巻き込むな?俺、自分から咲世ちゃんに、言ったんだけど?」
「でも、」
「でも、なに?俺さ、緋紗子のそういうとこ嫌い」
「っ、」
「彼女でもないくせに、彼女ヅラして。俺が決めたことに口出しするなら、もうお前とは会わないから」
「っ、嫌!ごめん、もう何も言わない!言わないから、会わないなんて言わないで…!!」


えっと……これは、何の修羅場なのでしょう…。私、ここにいていいんでしょうか…。


固まる私に陽悟さんが、こちらを向いて微笑んだ。


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