あなたに恋をしたらダメですか?
少し敷居が高いとあってか、子供の姿はなく、ほとんどが大人の男女ばかり。


デートでという人もいれば、私みたいに一人でという人もいた。


私が気になった人は、もちろんそこで働いている店員さん。茶髪でピアスもしてて、なんかシャツも第二ボタンまで留めてないんだけど、注文したものを持ってきてくれた時の笑顔とか、雰囲気とか、そういうのに、ちょっと心が奪われた。


でも、自分から声を掛けるなんて、そんなこと出来ないし、きっとこれも恋だと自覚する前に終わってしまうんだ。


そうして、そんな思い出を頭の隅に置いて、帰ろうとした時だった──


「あれ?この前、ウチに来てくれた子だよね?」
「えっ?」


横から声を掛けられ、ビックリして振り向けば、今さっきまで頭の中にいた例の店員さんだった。


(これって運命かも!)


「あれ?違ったかなぁ?俺の気のせいかな?だったら、ごめんね!」
「い、いえ!気のせいなんかじゃないです!多分、私で合ってます!」


多分じゃなくて、確実私です!!


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