あなたに恋をしたらダメですか？

「ねぇ、キミ一人？一人で映画観に来たの？」
「え…」


陽悟さんのことを考えていると、知らない男の人に声をかけられた。


これはまた……陽悟さんのようなチャライ格好して…。


きっと陽悟さんも、こうやって声をかけてるんだろうな、と思ったら胸が苦しくなった。


「俺も一人なのー。友達にさ、ドタキャンされてー。かわいそうでしょ？」
「はぁ……」


こういう時、なんて答えていいのか分からない…。きっとドタキャンなんて嘘なんだろうけど、人を疑わない私は、こういうことも信じちゃう。


だから陽悟さんが「可愛い」とか言うと、間に受けちゃうんだよね。


「ねぇ、聞いてる？キミさえ良かったら、一緒に映画観てくれない？」
「いや、あの、知り合いが一緒なので…」
「えー？マジかー。キミみたいな可愛い子と映画観れたら、俺幸せだなー」
「っ、」


そう言うと、チャライ彼は私の腰に手を触れた。本当慣れてないから、こういうのはやめていただきたいっ。


どうしよ、何かサワサワしてくるしっ。陽悟さん、助けて…！