あなたに恋をしたらダメですか?
「ありがとうございます」と、横を見上げてお礼を言えば、陽悟さんはクスッと笑って「咲世ちゃんって本当いい子だね」と言った。


べつにいい子ではないと思うのだけれど、スクリーン04の中に入ってしまい、何も返事が出来なくなってしまった。


「ここにする?」
「はい」


この映画より人気な映画があるのか、人は結構まばらで、比較的見やすい席に座ることができた。


けれどチャラ彼のせいで、席に着いてすぐに映画が始まってしまった。


映画が始まって、真剣にスクリーンに食いついていると、右に座っていた陽悟さんが私の手を優しく握ってきた。


ビックリして、隣を見ると反対の手が伸びてきて、私の頬を触った。


そして、小さな声で陽悟さんが言う。


「そんなに泣ける?本当、咲世ちゃんって可愛い子」


そんな言葉に私は更に泣いてしまった。


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