あなたに恋をしたらダメですか?
「咲世ちゃん…?」
「ごめん、なさいっ。何でもないです…」


私はそれしか言えなかった。好きだけど、きっと今伝えたら、この後の映画内容も入ってこなさそうで、少し笑うとスクリーンに目を向けた。


やがて終盤に入り、ラストを迎えると、徐々に明るくなっていく。


みんなが立ち上がる中、私はその場から動けなくなっていた。


「咲世ちゃん、立てる?」
「あ、はい…すみません」


ボーッとしてた私に遠慮がちに声をかけてくれた陽悟さん。


私が立ち上がると、当たり前のようにメロンソーダが入っていた紙コップと自分の紙コップを片手で器用に持ち、もう片方の手は私の腰に回し、外に出た。


「そこでランチしようか」
「…はい」


陽悟さんが指差したのは、近くにあったファミレスだった。


陽悟さんと入れる店ならどこでもいいって、思ってたし、ここで〝バイバイ〟じゃなかったのがすごく嬉しかった。


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