あなたに恋をしたらダメですか?
「いらっしゃいませ」という店員さんの声に、私たちは奥側の席へと案内された。


「なに食べたい?」
「んー、ハンバーグかなぁ?」


そう言っただけなのに、また陽悟さんにクスッと笑われた。


「なんでしょう…?」
「あー、ううん何でもないよ」
「……俺の周りの女の子たちは、ハンバーグなんか頼みませんか」
「え?」


お願いだから、比べないでよ…。比べられるたびに、私の胸がギュッと痛くなる。


「あー、ごめんね?俺の勝手な想像。女の子ってパスタとかグラタンとか頼むイメージだったから。また気悪くさせちゃった…?」


勝手な想像なんて嘘だ。きっと何人も連れてきてて、ハンバーグなんて頼んだ女の子がいなかったんでしょ?


それで、つい笑っちゃったんでしょ?


「大丈夫です、イメージ通りじゃなくてごめんなさい」
「あ、やっぱり怒ってる!ごめん、って」


陽悟さんは両手をパンと合わせると、頭を下げて謝った。


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