あなたに恋をしたらダメですか？
「んー、でも所詮物語でしょ？」
「え…」
「本当に人を好きになれない、好きになっちゃいけない人って、そんな簡単に変われないと思うけど」


そう、なのかな…。私には分からないから理解できないけど、簡単には無理なのかな。


「陽悟さん、前に彼女は作らないって言ってましたよね？」
「ん？あー、うん」
「そのワケは秘密って言ってましたけど、陽悟さんも人を好きになれないんですか？」


だって、やっぱりソコに食いついてくるのって変だよ。


簡単に変われないとか、普通そんな話にはならないでしょ？


「咲世ちゃん、」
「もし、気になる人がいて、その人があのヒロインみたく、陽悟さんの前から姿を消したら？陽悟さんはどう思いますか？」
「……俺なら、彼女の幸せを願って探さないかな」


そう言った陽悟さんの表情（かお）は、とても苦しそうで、ツラそうで、それ以上私からは何も言えなかった。


そんなタイミングでハンバーグが来て、お互い無言のままハンバーグを食べ終えた。


「今日は、ありがとうございました。私なんかに付き合ってもらって、本当に楽しかったです」
「俺も、咲世ちゃんとのデート楽しかったよ」


それが嘘でもいい。陽悟さんと一緒にいられたのは事実だから。


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