あなたに恋をしたらダメですか?
「悩まれるということは、ご友人関係ではないということでしょうか?」
「ゆ、友人なんて!とんでもないです!!」


私は顔の前で手をブンブン振り、強く否定した。


「そうでしたか。では、一応御忠告しておきます」
「忠告、ですか…?」
「えぇ、あいつは女性にだらしがないのでね。まぁ、お互い遊びの関係なら私も口出しは致しませんが、見たところお客様は純真無垢という印象でしたので。余計なお世話かとは思いますが、頭の片隅にでも入れておいてください」
「は、はぁ…」
「では、あいつが御注文を聞きに来ると思いますので、私は失礼致します」


そう言うと忠告をくれた彼は、小さくお辞儀をして、スッといなくなった。


やっぱり、女にだらしないんだ…。見た目と中身は違うって聞くこともあるけど、見た目通りの人もいるんだね…。


そういう私も、純真無垢だなんて…。確かに、穢れてはいない、いろんな意味で。


やっぱり恋しても、遊ばれて終わるだけなのかなぁ。一緒に働いてる彼が言うんだもん、相当遊んでるんだよね…。


「お待たせー!って、どうしたの?なんか難しい顔してるよ?」
「わっ!す、すみません…少し考えごとを…」


ビックリした…。急に顔の前に現れるから、心臓飛び出るかと思った…。


やっぱり、カッコイイなぁ…。雰囲気とか好きだなぁ。でもきっと私のことは見てくれないんだろうなぁ。


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