あなたに恋をしたらダメですか?
俺の言葉で咲世ちゃんは、また涙を溜めて泣いた。


出来ることなら、その頬に流れた涙を拭いてあげたい。


出来ることなら、頭を撫でて抱きしめてあげたい。


だけどそれはもう、俺がやるべきではないんだ。


……何の為にココに来たんだろ。普通に咲世ちゃんとデートしたかっただけなんだけどな。


そう思いながら「送るよ」と咲世ちゃんに目線を移すと「優しくしないでください…」と、彼女は車を降りる気でいた。


そんなこと言われて胸が痛くなるのは、もう会わないと言われて嫌だと思うのは、大切に思ってたんじゃない。


きっともう、好きになってたんだ。


けれど、どうすればいい。好きだと気付いても、好きだと言えない俺はどうすればいい。


こんな感情は初めてかもしれない。


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