あなたに恋をしたらダメですか?
「咲世ちゃん、もう一度だけ陽悟さんに会ってみない?」
「え、」
「陽悟さんがしたことは最低だと思うんだけど、咲世ちゃんが嫌いになってないのなら、」
「嫌いになんてなってないです、好きです陽悟さんのこと」


こんなにも好きなのに、嫌いになるわけないもん。キスのことは、そりゃあショックだったけど、嫌いになんかなってない。


「そう、なら良かった。じゃあ、今から行かせますから待っててね」
「え、でも私!」
「陽悟さんのこと、よろしくお願いしますね?」


そんな…。一方的に切るなんて…。でも、こうでもされなきゃ会わないのかもしれない…。


ゆっくり立ち上がると、服装を正して髪も手ぐしで整えて。目は、どうしようもできないから、そのまま自分の部屋を出た。


「咲世!」
「咲世ちゃん!」
「お姉ちゃん、智明さん」


そうだった、二人に何て言おう…。素直に言っても今回ばかりは聞いてもらえなさそう…。


「二人とも、心配かけてごめんなさい。ちょっと未知子さんのとこに行ってくるね」


こんな嘘、初めてつくから、ドキドキするよ…。智明さんは別として、お姉ちゃんにはバレるんじゃ…。


「大丈夫なの?」
「うん、大丈夫」
「咲世ちゃん、送ろうか?」
「い、いや!いい!智明さんはお姉ちゃんとラブっといて!」
「ラブるって……」
「じゃ、じゃあ、行ってきます!!」


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