あなたに恋をしたらダメですか?
陽悟さんは急に苦しげな表情を見せた。そして、ソファに私を座らせると、陽悟さんも私の隣へと座った。


「咲世ちゃんが無理なら、遠慮なく言って」
「……?」


私が無理なら…?どういう意味?


私が首を傾げると、陽悟さんはゆっくりと話し出した。


「俺の父親ってさ、母親に暴力振るってたの」
「え…」
「いわゆる、DVってやつだよね。それをさ、小さい時から見てきたのね。あー、今は離婚してるんだけど」


小さい時から、お父さんの暴力を間近で見てきたんだ…。陽悟さん…。


「それ見てさ、絶対自分はこんな奴にはならない!って、そう思いながら生きてきたんだけど。大人になって、それなりに女の子と付き合ったりもしたんだけどね、ある時ふと思ったんだよね。自分は父親のDNAが入ってるんだ、って。その瞬間、怖くなってさ、誰も愛せなくなっちゃった」


陽悟さんが抱えてた闇は、私が思ってた以上に大きかった。父親みたいなはならないと思っていても、DNAが陽悟さんを邪魔していたなんて…。


「だからさ、近寄ってくる子を適当に選んで抱いて、飽きたらポイして、本当最低な大人だよね」


そう陽悟さんは笑うけれど、本当はすごくツラかったんじゃないのかな。


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