あなたに恋をしたらダメですか?
「軽蔑したでしょ?」
「……ううん、してないです」
「嘘だ、普通は軽蔑するでしょ?飽きたらポイするんだよ?気持ちなんか、コッチはないんだよ?向こうにはあっても、コッチはただの性欲処理にしか使ってなかったんだから」
「………」


そう言われちゃうと、何て言っていいのか困るけど、でも、それでも軽蔑なんかしない。


「でもさ、咲世ちゃんが初めて店に来た時、久々に純真無垢な子を見て。だから、あの日道で咲世ちゃんを見た時、すぐに気付いたんだ」


あの時のこと、だよね?私がYUKIから出て歩いてたところ、陽悟さんに声をかけられて行く予定でもなかったブリーズに行っちゃったんだよね。


「咲世ちゃんと話してるうちに、この子俺に気あるなって気付いたけど、遊んでやろうとは一度も思わなかったよ」
「それは、私に魅力がないからですよね…」
「違うって、何でそう捉えるかな。咲世ちゃんはすごく可愛いよ?」
「じゃあ、貧乳だからですか?」
「貧乳って…。そこまで俺オッパイに執着ないよ」


……自分で言ったくせに、恥ずかしくなってきた。しかも陽悟さん真面目に返してくるし…。


「咲世ちゃんに名前聞かれた時も、素直に嬉しかったし、デートに誘われてるのを助けたのも、純粋に咲世ちゃんとデートがしてみたかったんだ」


デート…。映画館デートのだ。斎藤さんの誘いを断る為だけの口実だと思ってた…。


「今日のデートもね、普通にデートしたいって思って誘ったんだ。キスだって、本当はするつもりなかったのに……ごめん」


普通にデートしたいって、思ってくれてたんだ…。普通の人はそれが当たり前でも、陽悟さんにとったら新鮮だったんだよね、きっと…。


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