あなたに恋をしたらダメですか？
まさか、付き合うを飛び越えて結婚なんて出てくるとは思わなかった。


陽悟さんも恋愛初心者みたいなもんって言ってたけど、そうかもしれないけど、私なんかキスとか、その先のことすら経験がないのに…。


「でも一つだけ、やらなきゃいけないことがあるんだ」
「やらなきゃいけないこと…？」
「うん、緋紗子のこと」
「あ……」


そうだ、緋紗子さんって陽悟さんのこと、好きっぽかったよね…。


「あまり言いたくはないけど、他の子たちはさ多分電話で済ませれると思うんだ。でも緋紗子だけは、電話じゃ無理だと思う」
「……うん」
「だから、緋紗子と会って話したいんだけど、いいかな？」
「…はい」


正直、緋紗子さんのことを考えると胸が痛くなる。でもだからって、陽悟さんを渡したいなんてことは思わない。


「ありがとう。ちゃんと緋紗子には分かってもらうから」
「はい…」
「だから俺のこと、信じて待っててくれる？」
「うん…」


返事はしたけど、正直不安だよ…。あの異常なほどの執着…。そう簡単に分かってくれるのだろうか…。


「咲世」
「っ、」


陽悟さんは私の名前を呼び捨てにすると、ゆっくりと近付いてきて、唇に……ではなく、おでこにキスをした。


< 93 / 122 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop