あなたに恋をしたらダメですか?
「今日はもう遅いから、送るよ」
「ありがとうございます…」
「うん。っていうかさ、その敬語やめない?」
「えっ」
「少しずつでいいからさ、もっと俺に近付いて?」
「…う、うん」


そんなこと急に言われても困っちゃうけど、でも陽悟さんには近付きたいっ。


陽悟さんの家を後にして、車で家まで送ってもらうと、陽悟さんは「また連絡するよ」と言って、また私のおでこにキスをくれた。


そして、陽悟さんは右ウインカーを上げると、見えなくなってしまった。


「ただいま」
「あら、帰ってきたの?」
「へ?お姉ちゃん、何言って……」
「そうだよ、吏世。帰ってくるに決まってんだろ?なぁ、咲世ちゃん?」
「う、うん」


いや、帰って来る気ではあったけど、お姉ちゃんの言い方……これって気付かれてた!?


「咲世、お姉ちゃんがあんたの嘘見抜けないとでも?」
「や、やっぱり…!」
「え?嘘って?何、咲世ちゃん。俺らに嘘付いたのっ?!」
「いや、あの……」


ヤダ、どうしよう!でも、うまくいったんだし…。喜んでくれるよね…?


「まぁ、その雰囲気からして、うまくいった感じ?」
「お姉ちゃんっ。……うん、あんね結婚前提に付き合おうって言われた」
「結婚前提?!吏世!大変だ、阻止しないと!」
「はぁ…またお父さん?咲世、気にしないでね。あと、おめでとう!」


お姉ちゃんは私をギュッと抱きしめると、頭をたくさん撫でてくれた。智明さんは……まぁ、うん、放っておこう…。


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