君の平熱は少し高い。

 今日はたしかテスト最終日だった。

 テストの出来はまぁまぁで、授業のある日より早く終わった学校のあと何をしようかと考えていた。

 ためた録画を消費していくか、何か気になる映画を借りに行くか。

 そんなことをぼんやりと考えていたとき、不意に誰かに肩をたたかれた。

 驚いて振り返ると、黒崎くんがたっていた。


「え、なに?」

 黒崎くんとは、あのDVDの一件以来言葉もかわしてなかった。

 約2週間ぶりの会話だ。

 変な噂をたてられなかったものの、弱みを握られているような状況は変わっておらず、私の心臓はビクビクとしている。

 不安気に視線を送る。

 黒崎くんは、私の警戒をとくためなのかニコっと笑うと、なんとも言えない提案をしてきた。


「一緒にDVD見ないか?」

「え?」

 なんども言うようだけど、私と黒崎くんは特別仲がいいわけではない。

 SNSでやりとりをするわけでもないし、まずお互いのアカウントもしらない。

 なんでそんな人が私を誘ってるんだ?

 私が不思議そうな顔をすると、黒崎くんは少し困り顔をした。


「んー。いや、そのさ。前に武内と会ったときに見たDVD。あの武内がもってたやつ。・・・あれに、ハマっちゃってさ」

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