鳴海くんの特権

「私……好きなのかな…」





は？誰を？俺は心の中で先輩に問う。今俺が起きてしまえば、俺はどんな言葉を投げかけて、何をしてしまうか自分でも分からない。もし先輩が俺以外の誰かを好きになったのなら、俺は先輩が好きになった男をどうするか分からない。こんな状態で、先輩と帰ったら俺はきっと今まで築いてきた先輩との距離を一瞬で壊してしまうだろう。だから今はじっと耐える。俺の理性が収まるまで…




「……鳴海くん…私…」




聞きたいようで、聞きたく無い。というより、俺に聞かせてはいけない。俺の理性は、今なら小指で触れただけで壊せてしまうくらいに脆い。