窓ぎわ橙の見える席で
そこまで枯れてませんから
2時間半の同窓会はあっという間に過ぎていき、気づけば二次会の流れになっていた。
元々約束をしていた人たちや、今日この場で盛り上がった人たち、まだ飲み足りないと騒ぐ人たち……数えればキリがないいくつものグループが束になってホテルの会場をあとにして、2軒目を目指して移動を始めた。
亜希たちに二次会に行こうと誘われたものの、明日は朝から仕事がある。だから申し訳ないけど断らせてもらった。
てらみはまだ飲みたい気持ちは山々だったみたいだけど、さすがに1歳にもならない子どもを置いての二次会はダメだと判断したらしく、断っていた。
私とてらみはクロークから荷物を受け取り、ホテルの外へ出た。
生暖かい風が緩く吹いていて、湿気を含んでいて暑い。
さすが夏と言うべきか、ノースリーブで夜風に吹かれてもちっとも寒くなかった。
「私、このままタクシーに乗って帰るね〜」
「うん、じゃあまたね」
「つぐみはバスだよね?気をつけて帰りなよ」
ホテルの前の通りには示し合わせたようにずらりとタクシーの列があり、その中の一台にてらみが乗り込んだ。
後部座席から手を振ってきたので、私も彼女に手を振り返した。
てらみを見送ったあと私も帰ろうと身を翻した時、ちょうどホテルから出てきた大輝くんとバッタリ出くわした。
彼とは途中までは一緒にいたものの、かつてのサッカー部の仲間たちに声をかけられて盛り上がり、私の居場所が無くなったので退散した。
その後は亜希たちを見つけて、てらみを見守りつつたわいない話をしたのだった。
疲れたけど、楽しかった。
「つぐみは二次会に行かないのか?」
サッカー部の人たちの輪から少し外れるようにして、大輝くんが私のそばへやって来る。
コクンとうなずいて、
「明日は朝早くから仕事なの」
と答える。