窓ぎわ橙の見える席で


「今日も美味しかったです、ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでした」


定食を食べ終わったらしい辺見くんと、女子生徒の声。
「お粗末さまね〜」と涼乃さんが食器を下げに行く声。そして。


「あ、そうだ。宮間さんはいますか?」


辺見くんが私の名前を呼んでいる。
それが分かって、ひょいとカウンターから顔を出した。


「あぁ、いたいた」


彼はヘラッと笑顔を見せた。
それまで楽しそうに笑っていた女子生徒も、こちらを見ている。
軽く会釈して、厨房からホールへと出て彼らの元へと向かった。


相変わらずのモサッとした髪に、ボロボロの服。
これで教師って有りなのね……。


そんな私の思いとは裏腹に、彼はやせ細ったお腹をポンポン叩いて満腹をアピールしてきた。


「昨日はどうもね。まかないご飯、本当に美味しかったよ」

「あ、うん」

「ねぇ、今日の定食とデザートも宮間さんが作ったの?」

「そう。デザートは試作品。どうだった?」

「めちゃくちゃ美味しかった!」

「それは良かった」


ホッと胸を撫で下ろして、チラッと女子生徒を見てみる。


━━━━━ん?なんか睨まれてる?


可愛らしいと思っていた彼女の敵意むき出しの顔つきに、思わず首をかしげそうになっていると。
思い出したように辺見くんが彼女を私に紹介してくれた。


「宮間さん。彼女は僕の担任の生徒でね、新田さんっていうんだ。生物に興味を持ってくれて、今日も遅くまで色々教えていたんだ。たまたま宮間さんの話になって、じゃあ行ってみようかってことになってさ」

「なんで私の話になるのよ」

「同級生に再会したって話をしたんだ」

「はぁ」


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