窓ぎわ橙の見える席で


すると、新田さんという女の子は不機嫌そうに眉を寄せて口を尖らせた。


「先生、あたし、ミヤマサンが女の人だなんて聞いてない!男友達だと思ってたんだけど!」

「え?本当?言ってなかった?」

「言ってないよ!なによ、元カノ?」


ギョッとする私を尻目に、明らかに涼乃さんたちが私たちを見て何か噂話し始めたのが分かった。
もー、面倒くさいぞ!


「元カノっていうか……」

「まさか!今カノ!?」


否定しようとした辺見くんをよそに、新田さんはショッキングな顔をして私をガン見する。
これ以上の勘違いは困ります!
ただでさえくっつけたがってるオーナーたちに何て言われるか!


「あのね、新田さん。私と辺見くんはそういうのは……」

「オバサンには聞いてない。黙ってて」

「………………」


オバサン……オバサン……オバサン……。
そうか……、高校生の女の子からしたら、アラサーなんてみんなオバサンかぁ……。
恋人であることを否定するのも忘れて、ひたすら落ち込む私。


でも、どうやらこの子はあろうことか辺見くんに好意を抱いているらしい。
なんてこった、辺見くんがモテる日が来ようとは!


彼女はハァーとため息をついて、ポケットからスマホを取り出すと素早く操作し出した。
うへぇ、空良ちゃんもそうだけど、10代女子の携帯の扱いの素早さと言ったら拍手モノである。


「ママに迎えに来てもらいます。あーあ、変人先生には幻滅。女なら若い方が絶対好きだって思ってたのに!」


ブツクサ文句を言っている新田さん。
いや、逆に問いただしたい。あなたは辺見くんの何が良かったの?


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