窓ぎわ橙の見える席で


「はーい、海鮮焼きそば大盛り!お待たせ致しました〜!」


元気な若い大学生くらいのフレッシュな男の子が、ホカホカの湯気が立った焼きそばをドン!とカウンター席に持ってきてくれた。
2人で食べることを想定して、取り皿も2枚。
なんて気が利く子なんでしょう。


私は割り箸をひとつ彼に渡し、もうひとつで口をつける前に焼きそばを取り分ける。
手早く二等分して、大皿をカウンターに乗せて返却しておいた。


「いただきまーす」


声を揃えて焼きそばを食べる。
ちょうどいい塩味が口の中に広がって、エビやホタテの旨みが鼻を通り抜ける。
これはなかなかの美味しさだ。
ただし、出来立てなので熱い。


「へふほんほへんひんへんへいっへほっひはひんひはふほ?」


熱々の焼きそばを口に放り込んでからしゃべったから、思ったような発音にならない。
さすがに私の言葉を理解出来なかったらしい辺見くんが「ん?」と首をかしげた。


口の中を水でどうにか冷やした私は、「だからね」と続けた。


「デブゴンと変人先生ってどっちが人気あるの?」

「そんなのデブゴンに決まってるでしょ」

「決定事項なわけ?」

「太っちょで肌ツヤ良くて小綺麗で健康的な男と、痩せてて顔色悪くてこ汚い不健康な男。宮間さんならどっちがいい?」

「………………」


その答えを私に求めるのは間違ってるでしょうが。
今は高校生の視点で話をしてるっていうのに!


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