窓ぎわ橙の見える席で
屈託なく笑う辺見くんの、超ド級の褒め言葉に私はその場で撃沈。
さらに言うと周りで聞いていた涼乃さんが「きゃーーー!」と飛び跳ね、空良ちゃんに至っては顔を赤くしていた。
「あらやだ、先生ったら。こんな所でつぐみちゃんを口説いちゃダメよ〜」
「変人先生もそういうこと言うんだ〜!お弁当作ってくれてるお友達に失礼ですよっ」
好き勝手に盛り上がる2人を尻目に、辺見くん本人はキョトンとした顔で
「え?僕、そんなに変なこと言った?」
と目を丸くするのだった。
「それと、お弁当作ってくれる友達っていうのは宮間さんだから失礼には当たらないと思うんだよね。ね、宮間さん」
ついでにいらない情報もヤツが口にしてしまったために、涼乃さんたちの妄想は一気に行くところまで行ったらしい。
きゃあきゃあ騒ぎ立て、さすがにオーナーが「うるさいっ」と注意するほど。
私はというと、もはや言葉も発することなく忍者のようにその場からそっと離れて厨房の奥の方へ逃げたのだった。