窓ぎわ橙の見える席で
「一応聞くけど。同窓会には参加する?」
「んん〜。日程にもよるけど、ちょっと面倒だから不参加かな〜」
やっぱりそう来たか。
予想通りの不参加表明だったので動じない。
てらみの「三十路になった変人くんを見てみたい」という自分勝手極まりない希望を叶えるべく、どうにか参加の方向へ持っていこうと四苦八苦する。
「日程は来月の第二土曜日の夜なのよ。それなら辺見くんも来れるじゃない?」
「うーん」
「場所なんてパレスロイヤルホテルだよ!超一流の料理が食べられるよ!」
「うーん、僕はトキ食堂で宮間さんの料理を食べる方がいいなぁ」
「うっ……。食べ放題なんだよ!?お酒も飲み放題なんだよ!?」
「お酒は嫌いじゃないけど、食べ放題って苦手なんだよね。どれ食べていいか分かんなくなっちゃう。宮間さんの定食ならそういう悩みも無いし、無心で味わえるし」
「うぅっ……。ひ、久しぶりに同級生と会いたくないの?」
「すごく会いたいって思う人もいないしなぁ……」
いちいち女心をくすぐることを言ってくるんじゃない、元ガリガリ君め!
「うっ」ってハートを撃ち抜かれそうになって踏みとどまるのに必死。どうにかして、ほんとに。
「わ、私が一緒に行きたいの。辺見くんと。それでもダメ?」
こんなことを言ってしまったのは、他でもない、てらみのため。
自分のためとかじゃありません。
断じてそんなわけはありません。
辺見くんはほんの一瞬、私の横目でチラリと見やったあと
「僕と一緒にいて楽しいってこと?」
と聞いてきた。