あの日、私は兄に誓う
「…脅迫状?」と会長様は内容を読んで私を見た。
いじめは怖くない。けど…信都さんと過ごせなくなるのは辛い…。
「挑戦状ならまだしも、脅迫状…ねぇ。これはキツい…」と会長様はブツブツ言っている。
暴れてもいい?本気で…そしたらこの手紙書いたやつ、潰れるけど…?
学校だから…そんなことほんとは嫌なんだけど…。
「俺のせいだよね…」と辛そうに信都さんは言う。
止めて…そんな顔、そんなこと言うの…。
「今、心の声が聞こえたような気がしたんだけど…。暴れたい?」と疑問系で会長様は聞いてくる。
絶対に口には出してないわよ?
「どーすべきなのか…。俺も正直迷ってる。ここでOKを出していいのか、キミを救いたいし守りたい。だからといって、暴れさせて処分にはしたくない…。何が正しい?」会長様は独り言のように言っている。
「…しばらく俺に関わらないでくれ。その間になんとか出来ることをしてみる」と信都さんは言った。
嫌だ…一番聞きたくなかった言葉…。
私の目からは涙がこぼれ落ちた。
「ゴメン…」そう言い残すと、信都さんはどこかに行ってしまった。
もうすぐ授業が始まるのに…私は声を殺して泣いた。
「うっ、くっ、やだよぉ~」って。
光は優しく抱き締めてくれる。
時計を確認した会長様は「すまないが俺ももう行くよ…」そう言い残すと、去っていってしまった。
「大丈夫?そろそろ俺らも教室戻ろうか…」と光に言われて、支えられながら私は教室に戻った。
ー放課後、私は動けずにいた。
また涙が溢れてしまった。信都さんのバカ…
逢いたいよ…何で…あんなこと…何を考えてるのよ?
私を守るため?そんなの…嫌だ。守らなくていい、そばに居たかった。なのに!!
私は机に突っ伏して、泣いた。
誰も居ない教室で。辺りが暗くなっていくー
何時間そうしていたのだろうか?うっすら暗かった空は真っ暗になっていた。
誰かに抱き締められてる。
優しくて大きな温もり…。けど、恥ずかしくて顔をあげられない。
だってこんな泣き顔見られたく無いんだもん。
ただ優しく…何も言わずに抱き締めてくれている。
って…うん?お兄ちゃんにこの感じ似てるような…
私はゆっくり顔をあげた。
やっぱりそこにはお兄ちゃんが見える。
目を擦り、もう一度、見つめた。
お兄ちゃんは心配そうに私を見ている。
そして、何か言った。
『大丈夫!!』なのかな?
ありがとう、お兄ちゃん。
私は帰り支度をし、席を立った。そして、教室を出た。
真っ暗な廊下を歩く。やっぱり夜の学校は少し怖いな…。
けど、私は頑張って靴箱まで来た。
靴を履き替えると、「綾野さん?」といきなり声をかけられて、驚いてビクッとなってしまった。
「もう遅いよ?送ってくよ!」そう声をかけてくれたのは、会長様だ。
「何でいるんですか?」私は震えながら、そう聞いた。
「んー何でだろうね?綾野さんが心配だったからかな?教室電気ついてるの、生徒会室から見えてたから、もしかして、綾野さんかな?と思って…」と会長様は言った。
なるほどね。よく気がつくお方だわ。高見さんに似てるなぁ、この気遣い方…。
「ありがとうございます。実は少し怖かったんです。夜の学校、夜の帰り道って…」と私が笑うと、
「ムリしちゃダメだよ!」と会長様は言ってくれた。
そして、私と会長様は学校を出た。
並んで歩く私たち。
「あの人の気持ちも理解してやって欲しいんだ」と言われた。
そんなのわかってる。信都さんが一番苦しんでることくらい。
けど、心がついていかないの。頭ではわかってるのよ?ちゃんと…。
「頭では理解してるけど…心がついてかないって感じかな?」と会長様は言う。
何でこうもこの人は私が思うことを全部口に出すのよ!
「ゆっくりでいい。大丈夫だから!」と会長様は優しく言ってくれる。
私はありがとうございますと笑うしか出来なかった。
「ところで…俺のことずっと避けてたのは…暴走族の総長ってバレるの怖かったからかい?」と言ってきた。
なっ、…何でそれを知ってる?!
「申し訳ないけど…俺、実は全部聞いてるんだよね。アイツにも、兄さんにも」と言われた。
アイツって…先輩のことよね?
兄さんって…誰?
「気づいてなかった?俺も高見なの…。去年の会長は俺の兄さん。アイツさぁ、俺のこと嫌いだったみたいで、相手にしてくれなかった。ずっと、けど…何でか兄さんだけにはなついててな。悔しかったし、嫌だった。俺の兄さんなのに…って。けど…綾野さんを前にすると兄さんの気持ちわかるようになって…兄さんより頼りないけど…もっと頼ってほしい」と会長様は言った。
ホントに…?!私の大好きな高見さんの弟なの!?
ってことは…私の事情も全て知ってる?!
私は急に恥ずかしくなった。
「実は生徒会特別メンバーの話も兄さんにしたんだよ。だからワザワザ逢いに行ってくれた」と会長様は言う。
私は恥ずかし過ぎて、言葉が出ない。
「もっと頼って?苦しくなったら俺を呼んで?」そう優しく言うと、頭を撫でてくれた。
私はその言葉に救われた。
そうしてるうちに家に着いた。
「じゃ、また明日ね!もし、良かったら、迎えに来るよ?」と笑ってくれる。
そこまで甘えていいのだろうか?
いつも先輩と一緒に登下校してたから、それが出来ないと思うと寂しいけど…。
「大丈夫です。一人で行けます!送ってくれてありがとうございました。また明日、学校で…」私はそう言うと、家に入った。
「ただいまー」って笑顔で入ったのに…何よ…随分重い空気が流れてるわね?
お母さんもお父さんも「お帰りー」って棒読みなんですけど!
何でなの?!いつもならもっと優しく迎えてくれるのに…
私はいきなり抱き締められた。
いきなり過ぎてまったく理解出来ていない。
博明さん?!
「お帰り…。逢いたかった…」って。
だから、何であなたは毎日私の帰りを私の家で待ってるのよ!
そうツッコミたい!けど…言わない。
「高見から聞いた…」と博明さんは言った。
そっか、お兄さんなんだもんね。もう話通ってるんだ…。
「今の会長が高見さんの弟なの、知らなかったよ!」と私は言ってみた。
「言うの、忘れてた。けど、安心しな!もう大丈夫だろ!」と言ってくれた。
けど…どこまで話が通ってるのか、正直わからない。
「先、飯食べよ!話はそれからな」そう言って博明さんは私から離れた。
私達は重苦しい空気のなかで、無言で箸を進めた。
私は食べながら思い出して…また涙が頬を伝う。
苦しいよ。先輩…
私は後半の食事は喉を通らず残す結末になってしまった。
「ご馳走さま…」私はそう言うと、席を立った。
私はそのまま部屋に戻った。
博明さんは追いかけてきてくれて、ドアをノックする。
ーコンコン
私はベットに座ったまま。
「入るよ?」と声が聞こえて、遠慮がちにドアが開けられた。
そして、ドアを閉めると、私の横に座ってくれた。
「…辛かったな…」と博明さんは声をかけてくれた。
私は脅迫状を渡した。そして、博明さんに抱き締められて、博明さんの腕の中で大声をあげて泣いてしまった。
それでも博明さんは私の背中をさすりながら、「大丈夫、大丈夫」と声をかけてくれる。
私は今日の出来事を全て話した。
「そばにいてやれたら良かったのに…」と博明さんは言ってくれる。
ううん、充分そばにいてくれてるよ?私…ずっと甘えてるけど…。
「どーすればいいんだ?いっそのこと、恋人にでもなってしまうか?」と博明さんは言った。
いや、ムリでしょ!罪悪感あって私と関わらないようにしようとしてるのに…。
ってそれとも今の意味は…博明さんの恋人?
「ムリはすんな!辛いときはみんなついてる。頼っていい、一人で苦しむな」と博明さんは言ってくれた。
「ありがとうございます」と私は言った。
いじめは怖くない。けど…信都さんと過ごせなくなるのは辛い…。
「挑戦状ならまだしも、脅迫状…ねぇ。これはキツい…」と会長様はブツブツ言っている。
暴れてもいい?本気で…そしたらこの手紙書いたやつ、潰れるけど…?
学校だから…そんなことほんとは嫌なんだけど…。
「俺のせいだよね…」と辛そうに信都さんは言う。
止めて…そんな顔、そんなこと言うの…。
「今、心の声が聞こえたような気がしたんだけど…。暴れたい?」と疑問系で会長様は聞いてくる。
絶対に口には出してないわよ?
「どーすべきなのか…。俺も正直迷ってる。ここでOKを出していいのか、キミを救いたいし守りたい。だからといって、暴れさせて処分にはしたくない…。何が正しい?」会長様は独り言のように言っている。
「…しばらく俺に関わらないでくれ。その間になんとか出来ることをしてみる」と信都さんは言った。
嫌だ…一番聞きたくなかった言葉…。
私の目からは涙がこぼれ落ちた。
「ゴメン…」そう言い残すと、信都さんはどこかに行ってしまった。
もうすぐ授業が始まるのに…私は声を殺して泣いた。
「うっ、くっ、やだよぉ~」って。
光は優しく抱き締めてくれる。
時計を確認した会長様は「すまないが俺ももう行くよ…」そう言い残すと、去っていってしまった。
「大丈夫?そろそろ俺らも教室戻ろうか…」と光に言われて、支えられながら私は教室に戻った。
ー放課後、私は動けずにいた。
また涙が溢れてしまった。信都さんのバカ…
逢いたいよ…何で…あんなこと…何を考えてるのよ?
私を守るため?そんなの…嫌だ。守らなくていい、そばに居たかった。なのに!!
私は机に突っ伏して、泣いた。
誰も居ない教室で。辺りが暗くなっていくー
何時間そうしていたのだろうか?うっすら暗かった空は真っ暗になっていた。
誰かに抱き締められてる。
優しくて大きな温もり…。けど、恥ずかしくて顔をあげられない。
だってこんな泣き顔見られたく無いんだもん。
ただ優しく…何も言わずに抱き締めてくれている。
って…うん?お兄ちゃんにこの感じ似てるような…
私はゆっくり顔をあげた。
やっぱりそこにはお兄ちゃんが見える。
目を擦り、もう一度、見つめた。
お兄ちゃんは心配そうに私を見ている。
そして、何か言った。
『大丈夫!!』なのかな?
ありがとう、お兄ちゃん。
私は帰り支度をし、席を立った。そして、教室を出た。
真っ暗な廊下を歩く。やっぱり夜の学校は少し怖いな…。
けど、私は頑張って靴箱まで来た。
靴を履き替えると、「綾野さん?」といきなり声をかけられて、驚いてビクッとなってしまった。
「もう遅いよ?送ってくよ!」そう声をかけてくれたのは、会長様だ。
「何でいるんですか?」私は震えながら、そう聞いた。
「んー何でだろうね?綾野さんが心配だったからかな?教室電気ついてるの、生徒会室から見えてたから、もしかして、綾野さんかな?と思って…」と会長様は言った。
なるほどね。よく気がつくお方だわ。高見さんに似てるなぁ、この気遣い方…。
「ありがとうございます。実は少し怖かったんです。夜の学校、夜の帰り道って…」と私が笑うと、
「ムリしちゃダメだよ!」と会長様は言ってくれた。
そして、私と会長様は学校を出た。
並んで歩く私たち。
「あの人の気持ちも理解してやって欲しいんだ」と言われた。
そんなのわかってる。信都さんが一番苦しんでることくらい。
けど、心がついていかないの。頭ではわかってるのよ?ちゃんと…。
「頭では理解してるけど…心がついてかないって感じかな?」と会長様は言う。
何でこうもこの人は私が思うことを全部口に出すのよ!
「ゆっくりでいい。大丈夫だから!」と会長様は優しく言ってくれる。
私はありがとうございますと笑うしか出来なかった。
「ところで…俺のことずっと避けてたのは…暴走族の総長ってバレるの怖かったからかい?」と言ってきた。
なっ、…何でそれを知ってる?!
「申し訳ないけど…俺、実は全部聞いてるんだよね。アイツにも、兄さんにも」と言われた。
アイツって…先輩のことよね?
兄さんって…誰?
「気づいてなかった?俺も高見なの…。去年の会長は俺の兄さん。アイツさぁ、俺のこと嫌いだったみたいで、相手にしてくれなかった。ずっと、けど…何でか兄さんだけにはなついててな。悔しかったし、嫌だった。俺の兄さんなのに…って。けど…綾野さんを前にすると兄さんの気持ちわかるようになって…兄さんより頼りないけど…もっと頼ってほしい」と会長様は言った。
ホントに…?!私の大好きな高見さんの弟なの!?
ってことは…私の事情も全て知ってる?!
私は急に恥ずかしくなった。
「実は生徒会特別メンバーの話も兄さんにしたんだよ。だからワザワザ逢いに行ってくれた」と会長様は言う。
私は恥ずかし過ぎて、言葉が出ない。
「もっと頼って?苦しくなったら俺を呼んで?」そう優しく言うと、頭を撫でてくれた。
私はその言葉に救われた。
そうしてるうちに家に着いた。
「じゃ、また明日ね!もし、良かったら、迎えに来るよ?」と笑ってくれる。
そこまで甘えていいのだろうか?
いつも先輩と一緒に登下校してたから、それが出来ないと思うと寂しいけど…。
「大丈夫です。一人で行けます!送ってくれてありがとうございました。また明日、学校で…」私はそう言うと、家に入った。
「ただいまー」って笑顔で入ったのに…何よ…随分重い空気が流れてるわね?
お母さんもお父さんも「お帰りー」って棒読みなんですけど!
何でなの?!いつもならもっと優しく迎えてくれるのに…
私はいきなり抱き締められた。
いきなり過ぎてまったく理解出来ていない。
博明さん?!
「お帰り…。逢いたかった…」って。
だから、何であなたは毎日私の帰りを私の家で待ってるのよ!
そうツッコミたい!けど…言わない。
「高見から聞いた…」と博明さんは言った。
そっか、お兄さんなんだもんね。もう話通ってるんだ…。
「今の会長が高見さんの弟なの、知らなかったよ!」と私は言ってみた。
「言うの、忘れてた。けど、安心しな!もう大丈夫だろ!」と言ってくれた。
けど…どこまで話が通ってるのか、正直わからない。
「先、飯食べよ!話はそれからな」そう言って博明さんは私から離れた。
私達は重苦しい空気のなかで、無言で箸を進めた。
私は食べながら思い出して…また涙が頬を伝う。
苦しいよ。先輩…
私は後半の食事は喉を通らず残す結末になってしまった。
「ご馳走さま…」私はそう言うと、席を立った。
私はそのまま部屋に戻った。
博明さんは追いかけてきてくれて、ドアをノックする。
ーコンコン
私はベットに座ったまま。
「入るよ?」と声が聞こえて、遠慮がちにドアが開けられた。
そして、ドアを閉めると、私の横に座ってくれた。
「…辛かったな…」と博明さんは声をかけてくれた。
私は脅迫状を渡した。そして、博明さんに抱き締められて、博明さんの腕の中で大声をあげて泣いてしまった。
それでも博明さんは私の背中をさすりながら、「大丈夫、大丈夫」と声をかけてくれる。
私は今日の出来事を全て話した。
「そばにいてやれたら良かったのに…」と博明さんは言ってくれる。
ううん、充分そばにいてくれてるよ?私…ずっと甘えてるけど…。
「どーすればいいんだ?いっそのこと、恋人にでもなってしまうか?」と博明さんは言った。
いや、ムリでしょ!罪悪感あって私と関わらないようにしようとしてるのに…。
ってそれとも今の意味は…博明さんの恋人?
「ムリはすんな!辛いときはみんなついてる。頼っていい、一人で苦しむな」と博明さんは言ってくれた。
「ありがとうございます」と私は言った。