あの日、私は兄に誓う
翌日ー

私が冬休みなのを良いことに、朝から1日暴れている。

暴走族として、No.1になるために。

お陰で今はそれなりの功績を残しつつある。

No.1になるにはもう少し…。

地域では話題になっている。

レディースでは無い混合にも関わらず、女が総長はってるって。

そこまでならもう慣れたわ。いつものことだもの。

けど、最近は続きがあるの。

その総長の女がめっちゃ強くて、勝負を引っかけたら必ず負けるって。

そんな噂が立つようになったってことは…それなりの力をつけてきたって証拠。

でもね、ほんとはあんまり良いことでは無いんだよね。

その分、潰そうと狙われるってことだからね。

現に私達は狙われてる。

潰されるくらいなら、その前に解散しようと考えている。

じゃないと…犠牲者が出てしまうわ。

お兄ちゃんのように…。それだけは何としても避けたい。大切な仲間を守りたい。

まっとうしてこそ意味がある。お兄ちゃんと誓った、No.1の夢…。

もう少しで手の届くところにいるのよ?今辞めて諦めるわけにはいかないけど。

毎日暴れ、夜な夜な暴走。

そんな日は冬休み終了まで続いた。

冬休みが明け、始業式ー

信都さんは迎えに来てくれた。

「おはよ」って笑ってくれる笑顔が眩しい。

ほんとは学校に行くの、少し緊張している。

そんな空気を察したのか、

「大丈夫!!俺がついてるから」と声をかけてくれた。

そして、私達は歩き出した。

並んで歩きながら思うのは…『手繋ぎたいなぁ』ってこと。

恋人になったはずなのに…付き合う前とほとんど変わらない。

ちょっと寂しい気持ちになってると、

「繋ぐ?」と信都さんは手を差し出してくれた。

といっても、手袋越しにだけど。

マフラーも帽子も手袋も、私があげたやつ、全部してくれていた。

「いいの?」と私が聞くと、「彼氏だかんな!」と照れたように言う信都さん。

それが嬉しかった。

学校で起こるこれからの出来事をまだ知らない私達は、幸せな気分に浸りながら登校したのだった。

学校につくと、不良たちが数名…近づいてくる。

私達は身構える。というより、私は身震いしそうになった。

「なんだ、お前ら…」と信都さんが言う。

そしたらいきなり、頭を下げられた。

「助けてください!!」と。

えっ?どーゆうこと…?意味がわからず私はフリーズ。

彼らを見ると、何ヵ所も傷がついていた。

よく見ると、傷者(きずもの)が多い。

この冬休みに暴れたのだろうか?想いは私たちと一緒?

「説明しろ!!」と信都さんは言った。

その声に私は我に返る。

「とある、暴走族が朝から乗り込んできて…みんなボコられたんです…」と一人の生徒は言った。

私をいじめてた先輩方では無かった。

そこに「何事だ?!」と高見さん弟が現れた。

私と信都さんはとりあえず手を離し、顔を見合わせる。

そこに「おはよー」と呑気に現れた光だが、皆を見て呆然としている。

「お前ら、その傷、どーしたんだよ!」と光は言った。

「そ、総長…」と言うのを聞いて理解した。この人ら、光のとこの人だったんだって。

だから私に助けてくださいか。

「光、思い当たる節はある?」と私が言えば、

「あるな…。アイツらか?」と光は言う。頷く生徒。

「はぁ、どーすっかな~」と光は言っているが…

「そろそろ時間だよ?とりあえず、教室行って、鞄を置いて体育館に向かうこと。それから考えな!」と高見さん弟は言って去ってった。

私たちも、慌てながら教室に向かった。

体育館までの道のり、光と今後について話し合っていた。

ウチと同盟を結んでる以上、こちら側も何らかのアクションは起こさないといけない。

しかし、相手は有数の暴走族…ノワールだ。

あそこのトップはかなりの強者…。

頭の回転も早く、多分これも計画的なものだろう…。

だとしたら、私はどう動けばいい?

そんなことを考えながら、体育館にいる。

こんな大事な時に校長の長いお話なんて聞いてられないよね!

ここでノワールに勝てば、私達は念願のトップに立てる。

そのあとは、トップを守ることになるが私は任務を全うし、悔いなく辞められる。

そのためには何としてもノワールを潰すしか方法はない。

けど、勝ち目なんてあるのかしら?

怖い…不安でたまらない。出来ることなら戦わずして穏便にことを済ませたい。

けど…それじゃ向こうは納得しないよね?

やるしか無いのね…。

とりあえず、光のとこと合同の緊急集会かしらね?

この日を選んだにも理由があるだろうし…。

やっと校長の話が終わり、私達は教室に戻る。

その間に光と話すのは今後の活動についてだ。

「今日、合同で緊急集会を行うわ。メンバー集めて。もちろん、彼らもね!」と私は言った。

「了解…。場所は…」と光は言う。

私のホームで良いわよね?

「ホームね!」と私が言うと、「駅ですか?」とボケてくれる。

「真面目な話よ?ボケてる場合じゃない!」と私は言った。

私達は教室に戻ると、ナゼかもう身支度を始める。

『博明さん、今日、空いてますか?緊急集会をしたいです。メンバー徴集お願いします』と私はLINEを送っとく。

よし、HR終わったわね!

私は急いで教室を出たんだけど…足止めされた。

会長様だ。もう、何よ忙しいのに…!

「無理すんなよ!あとは…気を付けて…」と言うのだった。

私のことは知ってる。知ってるからこそ深くは聞かず流してくれている。

「ありがとうございます」と頭を下げて、私は靴箱に向かった。

靴箱のところで、光に会った。

光はかなり息を切らしながら、「速すぎるよ!」と言った。

自慢じゃないけど…足にはかなり自信があるんだ♪

実はめっちゃ速いの!階段もほとんど飛ばしたしね!

私は「ごめーん」と言いながら、早々と校舎を出る。

「だから…ちょっと待てよな!」と光は言って私の横を歩く。

校門を出ると、博明さんがいた。

「合同の緊急集会って何があったんだ?」と聞いてくる。

私は家に向かいながら、理由を説明した。

特攻服を取りに帰るため、一旦家に戻る。

特攻服に着替えた私は改めて家を出た。

すでに博明さんは準備を終えていて、バイクを横付けしてくれていた。

私は博明さんの後ろにまたがった。

集会所につくと、すでに皆揃ってる。しかも…光のとこのメンバーまで。

特攻服を着るのは幹部だけなので、私服のやつが多い。

私はバイクを降りた。

「今日は急にゴメンなさい。見ての通り、ここに傷者がいる。光のとこのメンバーよ。相手の検討はついてるの。けど…どーすればいいのか、私にはわからない。だから、皆に相談したいの!」と私は言った。

「相手は有数の暴走族…ノワールよ!彼らに勝てれば、私達はNo.1になれるわ。彼らが動いたと言うことは、ウチもそれなりになったってこと。けど…ウチじゃなくて、わざと光のところを襲撃したとしたら?私達を誘き寄せる為のワナだったとしたら?まんまと引っ掛かってノコノコアイツらの前に姿を現していいのかしら?」と私は言った。

だってそうでしょ?自分達の心配をせず、命かけてでも向かわないと行けないの?ワナだってわかってながら…。
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