あの日、私は兄に誓う
「姫、よろしいですか?」と一人の男性が手をあげて前に出てきた。

「姫の言いたいことは理解出来ます。ですが、ウチが認められるようになったと言う解釈をしなければなりません。どんなことがあっても動じないあの、ノワールが動いたんですよ?それは、自分達が危険を感じたからでは無いでしょうか?」とその男性は言った。

確かにそうね。

「ええ、確かにそうよ。けど…向こうの頭はタダ者では無いの。だから不安なのよ!皆を危険にさらしたくないわ。お兄ちゃんみたいに…もうこれ以上大切な仲間を失いたくないの!」

私は叫ぶようにそういう。

私の目からは涙が溢れた。皆は黙ってしまう。

「戦わなければ終わらない。それに、アイツの夢を叶えてやるんだろ?なら弱気になってんじゃねぇ!全力でぶつかろうや。心配すんな!俺らはそんなにヤワじゃねぇ。全力でここの仲間とお前を守る」と博明さんは言って抱き締めてくれた。

私はそれで吹っ切れた。

博明さんに言われたらなんだか頑張れそうな気がする。

No.1になれば、ウチを潰しに数多くのチームがかかってくる。

そのときは、No.1として、堂々と受けなければならない。

ここで引くわけにはいかないのだ。

ここまで来たのだから。

やっぱり私は頼っているんだ。博明さんに。改めてそう思った。

けど…博明さんがいてくれてホントに良かった。

私はここの、『永遠』の総長になって良かった。改めてそう思う。

色んな出会いがあって、勉強しかしてこなかった私には大きな刺激ばかり。

楽しいことも苦しいことも、皆と分かち合ってきた。

だからこそ、何としても仇をとらないといけない。

光と光のところのメンバーの…。

どんな手を使えばいいの?

そんなことを考えてたら、「ほな、早速行きましょうや!奴らの本拠地」と言ったのは…朝、私に助けを求めてきた男子。

ナゼかやる気満々なんですけど!

「そうやなぁ~こんなとこで考え事しとってもラチあかんしね~」と光は言って、ナゼかもうバイクにまたがっていた。

そしたらそれにつられるようにして、皆もバイクにまたがっている。

呆然と立ち尽くしているのは私だけだった。

けど…体が動かない。怖くて、不安でたまらないのだ。

やらなければいけないとはわかってる。けど…実際には怖すぎて体が動かない。

博明さんはそれに気づいたのか、抱き締めてくれた。

博明さんの腕の中はとても安心する。

優しくて温かい。

「動けないのか?」と聞いてくる。

コクンと頷けば、さらに強く抱き締め、優しく背中をトントンしてくれた。

皆はその様子を見ている。

「びびってんすか?」と光は笑う。

そりゃあ、ひびりもするでしょ!相手はあのノワールなのよ?

「俺らは、永遠を信じついてきました。大丈夫です。何があっても一緒です!!」と励ましてくれるのは、怪我をしてる彼らで。

ナゼか彼らが一番元気でやる気。

負けてられない。私ももっと頑張らないと!そう思うのに…体は完全に固まってる。

「俺らと違って、香はごく普通の女の子なんだよ?」と博明さんがフォロー入れてくれるけど…

そのフォローが逆に辛かったりする。

「だからなんなんすか?」と光は言う。

「光!」と博明さんは怒る。

「天下の香様よ?対したこと無いっしょ!」と光は言う。

「もう、やめてあげてください!総長!」と光のとこの男子がいった。

「いつまでもウジウジしている私が悪いのよね?皆ゴメンなさい。肝心なとき弱くて…。けど、ここまで来た以上、引けないのは事実よね。覚悟は決まった。皆も覚悟してかかってね」私はそう言うと、博明さんの後ろにまたがった。

爆音と共に走り出すー

光ってホントに…私を上手く乗せてくれるんだから…私の扱い?上手いのよね。

数十分後ー

彼らの本拠地に着いた。

「遅かったね~待ってたのに…」と頭は挑発してくる。

この方が、ノワールの頭、安西康介だ。

「お久しぶりです。安西さん」と私は言って、バイクを降りた。

「あら、可愛い。あんたが頭か?随分可愛い女の子だねぇ。噂は予々…」と笑いかけてくる。

そこじゃねぇーよ!と思わずつっこみたくなる。

「って…ん?知り合いだっけ?何で俺のこと知ってんだ?」と聞いてきた。

そうそう、その言葉が欲しかったのよ~(笑)

「覚えておられないんですね…残念です…」と私は落ち込んだフリをしてみる。

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