あの日、私は兄に誓う
「…記憶がない…」とボヤくように言う。

当たり前だ。記憶を作り替えたのは、私のお兄ちゃんなのだから。

「記憶が無いんですか?」と私は白々しく聞いてみた。

永遠のメンバーにもお兄ちゃんが言わなかった秘密…

「俺の何を知っている?」と聞いてくる。

言ってもいいのかしら?私は別にいいのよ?

皆が私を見つめる。

向こうの連中は暴れたそうにしている。

が、私と安西さんの関係が気になるのか、止まっている。

「俺を動揺させて襲う気か?」と聞いてくる。

確かに…それは出来なくも無いわね。けど、あなたも、仲間たちも動いていないわよ?

そんな人を襲う気は無いわ。

それに安西さんは…お兄ちゃんが命かけて守った大切な人。

私にとって、博明さんと同じくらい大切な人。

ほんとなら戦いたくないのが本音。

「実はさ…今日が俺らの最後なんだよ。ノワール解散するんだ。だから…どーしても、キミのとこと、戦いたかった」彼はそう言う。

なら、やるしかないわね。

「私らも…ほぼ最後だと思ってる。皆、準備はいい?おもいきり暴れちゃって!!」と私は言った。

そして、両者の大乱闘が始まった。

私と安西さんは少し離れたところで話すことにした。

私は安西さんに安西さんの知られざる過去を話した。

話を聞きながら涙を流している安西さん。

そこだけを見ると、変わらないあの時の優しいお兄ちゃんなのだけど…。

私は優しく抱き締めて、「これからの人生に幸多きこと、願います」と言った。

ありがとと笑ってくれる安西さんにホッとした。

そして、私達、総長に声がかかった。

私達は立ち上がった。

そして、改めて向かい合う。

「あなたの最後の一戦。望むなら受けて立ちます」私はそう言って、安西さんの前にたった。

怖くて、たまらなかった。相手はノワールというより、安西さんだから。

でもね、お兄ちゃんはこの事を誰よりも望んでたと思うから。

大苦戦したけど…なんとか私は勝った。

と言っても…こんな話をした後だから、手加減してくれたのかも知れないけど。

私は崩れるようにその場に経たりこんでしまった。

そんな私を、博明さんは抱き締めてくれた。

よく頑張ったね!と。

「最後に相応しい、いい勝負だったよ!ありがと、綾野さん」と手を差し出してくれた、安西さん。

私もその手を握り返しながら、立ち上がる。

「また、どこかでお会いしましょう!」と私は声をかけた。

安西さんは私達の目の前で、降参宣言すると共に、解散を宣言した。

そして、私達は改めてトップへと立ちホームを広げた。

拡大していく、テリトリー。

私達の夢はついに叶った。

『お兄ちゃん、叶ったよ!夢。安西さんもこれからはもう大丈夫…』と私はお兄ちゃんに心で声をかけた。

長い1日が終わった。

翌日ー

彼氏である信都さんが今日も迎えに来てくれた。

そして、一緒に登校する。もちろん手は当たり前のように繋がれている。

「昨日は大丈夫だったか?」と聞いてくれた。

「ノワールの総長、私がよく知ってる人だったからね!勝たせてくれたよ」と笑うと、そっかと一言返してくれた。

学校につけば、私は普通の女子高生に戻る。

成績を下げないために努力をしている。

「おはよー」と後ろから聞こえる声は光だった。

「「おはよ」」キレイにハモる私達。

見つめあって笑いあった。

「お熱いことで…」と光は笑った。

普段と変わらない日常ー

変わったことと言えば…

「おはようございます」と数名の男子生徒に頭を下げられてる私

いやいや、ここ、学校よ?やめてよ…恥ずかしい…。

そう思ったのだけど…

って…えっ?彼らは…先輩の取り巻き…?

私をいじめてた?

何で…どーなってるの?

「おはようございます」と私は笑顔を向けてみた。

「朝から破壊力抜群の笑顔いただきましたー」と言われた。

「すいませんでした。今まで…」と頭を下げられた。

何があったのか、理解できずにいる。

「急に…どうされたんですか?」と私は思わず言ってしまう。

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