あの日、私は兄に誓う
「あー、いや…その…」とハッキリ言わない信都さんに苛立つ私。

「こいつの…彼女だから?」と言う一人。

「まぁ…そうゆうことだ」と言うもう一人。

私はポカーンと口を開けてしまった。

そして、思わず信都さんの顔を見つめた。

そしたら…赤面してる信都さんの顔が…って、

顔近くない?ダメ、もう…ドキドキしてる。

信都さんは私に軽いキスをした。と言っても、触れてすぐ離れるようなホントに軽いもの。

嬉しいけど…朝から、しかも学校でなんて…めっちゃ恥ずかしい。

今度は先輩らがポカーンとしている。

「ご馳走サマ」と舌を出して笑う信都さんはそのまま去っていった。

取り残された私。呆然と立ち尽くすしか出来ない。

「なんだ~ラブラブなの?!面白くなーい」と言って、現れたのは、高見さん弟。

「あっ、会長、おはようございます!!もしかして今の…見てました?」と私が言うと、

「おはよー。見てたというより、見えてただけどね!多分たくさんの人に見られてたと思うけど…」と笑ってくる。

私は顔から火が出そうなほど恥ずかしくなった。

「けど…君らもラブラブだし、アイツらもいじめるの、やめたんだから…いいよね?」そう言うと、高見さん弟も去っていった。

私はまたしても取り残されたが、教室に向かって歩き出した。

教室につくと、見られてたのか、からかわれる。

「おはよ。もう大丈夫そうだね?」と光は声をかけてくれた。

「うん、ありがとう。光」と私は言った。

けど…これでホントに良かったのかな?なんて思う。

それを察したのか、「どーした?今…これで良かったのかな?なんて考えたでしょ?」と光は言ってきた。

うん。と頷けば、「やっぱり…後悔するなら最初からするなよ」と言われた。

どーゆうこと?後悔なんてしてないけど…

「後悔?そんなの無いよ~」と笑うと、「なら、間違って無かったんだよ!」と光は言って、私の頭をポンポンした。

そっか、光にはわかるんだね…。

後悔…じゃなくて、不安な私の気持ち。

あの人らのいじめが治まった理由もほんとは怪しいものだ。

高見さん弟が手をまわしたのか?それとも…昨日の今日で公にされてるのか?

あのノワールを降参宣言させたウチだ。

この学校ならその話が出回ってもおかしくない。

数多くの暴走族が集まる学校なのだから…

話題にはなってるのかもしれない。

けど…授業は普通に始まり、終わっていく。

ーお昼休み

光と食堂に向かっていた。えらく視線を感じるのだけど…

やはり、昨日のせい?

光も何かを感じ取ってるようだ。それでも普通に接してくれる。

食堂に着くと、先輩は手を降って待っててくれた。

ナゼか、高見さん弟もいるんですけど!

痛いくらいに突き刺さる視線に少し苦しくなる。

「おい、言いたいことあるならハッキリ言いなよ!」と先輩は言ってくれる。

皆は個々に散っていく。そして、誰も何も言わなかった。

「…んだよ、香が何したってんだよ…」とブツブツ言ってる信都さんの横で、

「…二人とも、自覚しなよ。朝の出来事…」と真面目に高見さん弟が言った。

あっ、そうだったー

今朝グラウンドの真ん中で先輩とキスしちゃったんだったー

だからだったの?てっきり私は…昨日のことって思ってた。

「昨日の功績もあるけどね?」と高見さん弟に耳打ちされた。

うっ、やっぱり…。

先輩が照れてるのがわかった。

自分でしといて…今さら照れるの?

信都さんと高見さんの弟は相も変わらず、意味の無いようなケンカをしている。

何だかんだ言って、仲いいんじゃないの?!って思ってしまうけど…それを言うと終わっちゃうような気がするので言わない。

「あ、ねぇ、綾野さん、放課後、生徒会室来てもらっていい?」と高見さん弟は言う。

「あっ、はい!」と思わず返事すると、

「俺の香に何する気だ?」とすごむ信都さん。

「あは☆何もしないよ?ただ少しお話するだけ!」って高見さん弟は笑うんだけど…

その笑顔が妙に怖いんですけど…何考えてるんですか?

「生徒会の仕事手伝ってほしくてね。ほら、俺もうすぐ卒業じゃん?だからそれまでに色々片付けないといけないことがあるんだよね…」と高見さん弟は言った。

そうだったー

冬休みが明けたと言うことは…つまり、もうすぐ高見さん弟も先輩も卒業しちゃうんだ…

そう思うと、急に、苦しくなって、落ち込んでしまう。

「大丈夫!!」とナゼか笑う先輩。

「卒業しても、ちゃんと香は俺の女だから」そう言ってくれた。

それがただ嬉しかった。

ー放課後、

私は生徒会室にいる。資料整理をしながら迎え入れてくれた高見さん弟。

こうして見ると、会長なんだ…改めてそう思った。

見られてるのに気がついたのか、

「何?もしかして俺に見とれてた?」と言ってきた。

見とれてたと言うよりは魅せられてたが正しいと思うけど。

「ちゃんと、会長なんだなぁ…って」と私が言うと、「答えが正直過ぎるよ!」と笑われた。
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