あの日、私は兄に誓う
翌日ー

私の答えは出なかった。

モヤモヤした気が残るまま家を出た。

信都さんが「おはよ」と声をかけてくれた。

「おはよーございます」と笑ったんだけど…

「顔ひきつってるよ?」と言いながら、手が出されて…私は信都さんの手を繋いだ。

「私が生徒会…なんてなっていいのかな?って…」と私が言うと、

「その事ね。大丈夫だよ!」と信都さんは優しく笑ってくれた。

なんだかそれだけでホントに大丈夫な気がした。

学校に着くと、「おはよーございます。香さん。お鞄お持ちします」と現れた少しめんどくさい人。

「お前ら…そんなんするぐらいならちゃんと、謝れよな!」と信都さんは言ってくれた。

その横を高見さん弟が、どけと言わんばかりに通りすぎていった。

「…あのさ…」と信都さんは何か言いかけてやめた。

何を言いたかったのか?何となくはわかるような気がする。

でもあえて私は何も言わなかった。

そしたらあっという間に、靴箱のところに着いてしまった。

私達はそのまま別れて、それぞれの教室に向かった。

「おはよー」と光は現れて…私は光と一緒に教室に向かった。

相変わらずダルい授業を受けている私達。

はあぁ、早く終わんないかなぁ…私は時計をずっと見ている。

早く先輩に逢いたいー

やっとお昼休みー

廊下は走っちゃいけないの、知ってるのよ?でも1分、1秒でも先輩に逢いたくて…もうスピードで食堂に向かう。

相変わらず息を切らしながら着いてくる光を見ながら。

「はぇーんだよ!毎回…」と光は言う。

「仕方ないじゃん!足速いんだから…それに…早く先輩に逢いたくて…」と私が言えば、諦めたように

「…仕方ないか」と言った。

食堂に着くと、相変わらずの人…。

私は必死に目を凝らすけど…先輩は見当たらない。

「綾野さーん、こっち~」と声をかけてくれたのは、高見さん弟。

私はそっちに向かって歩いて行った。

そして、私はふと足を止めた。

そこには数名…転がっていたから。

何が起こってるのかわからなかった。怖くて後ずさる。

その背中を支えてくれる光。

「これは…?」と私が言えば、

「大成功!お前らもういいよ」の高見さん弟の一言でその数名は立ち上がった。

「随分早いお着きで…」と一人の男子は言っている。

「会長も度が過ぎますよ!」と別の男子は笑っていた。

「いやーね、綾野さんいじめるの、楽しくて☆」なんて…。

ふざけないでくださいよ!

はぁ、とため息をつく私に、「俺の香で遊ぶな」そう言って信都さんが後ろから私に抱きついた。

「きゃっ」なんて柄にもない声が出てしまう。

「可愛いなぁ~」と耳元で囁く信都さん。

私の顔は真っ赤になった。

「もぉ、マジビビったじゃん!会長…こんなとこでこんなイタズラしないでくださいよー」と光は言うと、ナゼか席を見つけて、座り、お弁当を開いていた。

「香、俺らも早く飯食お?時間なくなる…」と先輩は言うと、私の手を引っ張りながら、席についた。

私達も食事を始めた。

それから毎日のように、高見さん弟は私に小さなイタズラをして反応を見て楽しんでいた。

いじめってほどのものでもないし、私と高見さん弟との仲だから気にしないようにはしてた。

イラつくことも無いしね!

けど…信都さんがいつになく不機嫌なの。

「先輩?最近不機嫌じゃないですか?」と私が言えば、「だって…」と拗ねるように言ってくる。

いじめは収まったのに会長にイタズラされてるのが気に入らないらしい。

「…俺のだよ?イタズラもしていいのは俺だけでしょ?」って。

そんなタイプだったっけ?信都さん。
< 25 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop