あの日、私は兄に誓う
「って俺…何いってんだろ?なんかごめん」って照れたように信都さんが言うもんだから、ついつい笑ってしまった。

「ありがとうございます」と私は笑顔で返した。

相変わらず、高見さん弟との関係は変わらず、1ヶ月が過ぎた。

暴走族としての活動も前ほどは頻繁じゃなくなりつつある。

バレンタインをもうすぐ迎える。

準備が忙しくて、イライラしてたりして、信都さんと喧嘩してしまった。

お昼も、光と一緒にご飯食べてる。

こんなはずじゃ無かったのに…。

「なんで喧嘩したの?」と光に聞かれた。

「私が悪いんだ…」とだけ言う。

光は深くは聞いてこない。私はそれで良いと思ってる。

信都さんとあまり過ごさなくなって1週間が経った。

寂しくて…辛くて…苦しいのに、ごめんなさいの一言が言えない。

空気読まない高見さん弟はチャンス?と言わんばかりに私にベタベタしてきている。

「そろそろ結論出てるよね?」といきなり話を振られた。

「はい。会長の言う通り、私にしか出来ないことがあると思うので…生徒会チャレンジしようと思います」と私は回答した。

そしたらいきなりとびきりの笑顔で頭を撫でられ、「綾野さんらしいね!」と言われた。

この笑顔にキュンとしてしまう私…。

そして、生徒会に入ることを約束した。

「で、なんでアイツと喧嘩したの?」と光と同じことを聞かれた。

「私が苛立ってて…八つ当たりしてしまいました。そしたら…激しい言い合いになってしまって…」と私は高見さん弟にはほんとのことを話した。

「んーそっか。けど…やっぱり二人が一緒じゃないと俺、楽しくないんだよね!早く仲直りしてね?アイツも辛そうだから」そう言い残して、去っていった。

そうだよね…。謝ろう…そう決断したけど、勇気が出なかった。


ー数日後

バレンタイン当日を迎えてしまった。

はぁぁ。やっぱり今日も信都さん迎えに来てくれなかったなぁ…

落ち込みながらトボトボ歩いてる私。

それが見えたらしく、「おはよ?どしたの?」と声をかけてくれたのは博明さんで。

私の話を聞きながら、学校まで一緒に歩いてくれた。

「今日、バレンタインだから…博明さんにもね?送ってくれてありがとう」って私はバレンタインのチョコを渡した。

「ありがとう。気を付けてな?」と博明さんは満面の笑顔を向けると去っていった。

また一人になると急に苦しくなる。

私は先輩にLINEした。

『放課後、逢いたいです』って。シンプルにそれだけ…。

それ以上は怖くて何も書けなかった。

ちゃんと顔見て言いたいし…。

はぁぁ。私はまたため息を吐きながら、校門をくぐった。

後ろからいきなり抱きつかれた。

私は勢いよく振り返り、ギロッと睨み付けた。

「おはよ?そんな怖い顔すんなや~」と笑いながら言ってくるのは、光。

光は変わらず、優しくて…私の横を歩いてくれる。

それでもモテるみたいでたくさんの人がバレンタインのチョコを渡しに集まってきて…

取り残された?私はゆっくりと歩き出した。

そうよね…よく考えたら、このルックスで性格だもの…光だってモテるわよね?

けど…浮わついた話はいっさい聞かないわね。

なんで誰とも付き合ってないのかしら?

今もたくさんの女子に囲まれて、少し困り気味みたいな顔をしてるけど…

表には出さないのね。丁寧に一人ずつ受け取ってるし…。

なんか…苦しくなってきた。

女子がザワついてる日…昔の私はバカみたいとか思ってたのに…

今は私もそのザワついてるうちの一人だなんて…

なんか不思議。

「こーう、置いてくなや?」って笑顔で私のもとに走ってきてくれた。

「もう良いの?」と私が言えば、「まあ、落ち着いた?」とはにかむ。

私達はそのまま教室に向かった。

授業が始まって終わっていく。

お昼休みになった。

私は動けずにいる。「香?飯食わねぇーの?」と光が声をかけてきた。

「えっ、あぁーもうそんな時間なの?」って私は言ってしまった。

「おいおい、大丈夫かよ?」と光に笑われた。

「あっ、そうだ!朝私損ねたんだけど、これ…バレンタイン」と私は言って笑った。

「いいの?サンキュー」と喜んで光は受け取ってくれた。
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