あの日、私は兄に誓う
「「何笑ってんだよ‼」」

二人は声を揃えて私を睨む。

睨まれると言う行為に慣れてる私は平然としていられる。

目付きは信都さんは怖いけど、高見さん弟はそこまででもない。

いや、周りに言わせれば、私が一番怖いらしい。

これでも総長としての責任があるからね!威厳保てないと!

頑張れるとこは頑張っとかないと。

「喧嘩するほど仲がいいって言いますからね!」と私が言えば、

「「ふざけるな‼仲良くない!」」とまたしても二人は声を揃えて即答で全否定してきた。

まあ、お互いに認めたくないんだろうから仕方ないけど…。

「わかりました。そろそろ帰りましょ?」と私が言えば、

「せっかく仲直りしたんだから二人で帰らせてあげるよ‼ほら、二人とも早く帰りな」と高見さん弟は言って私たちを生徒会室から追い出した。

生徒会室を追い出された私たちは顔を見合わせた。

信都さんは私に手を差し出すと、恥ずかしそうに、ほら、と言った。

私も照れながら信都さんの手に自分の手を重ねた。

そしてゆっくりと歩き出す。

なんかとても久しぶりでくすぐったい。

懐かしい信都さんの手は優しくて大きくて暖かい。

「ほんとにありがとう!」って信都さんにお礼を言われた。

「さっき、初めて名前呼んでくれたな」って随分嬉しそうに言われた。

「…卒業しちゃうんですよね…」と私が言うと、

「大丈夫‼心配すんな。毎日は無理でもたまには迎えにくる。ずっと一緒な?」と笑ってくれた。

私は笑顔で頷いた。

それからあっという間に3月になってしまった。

卒業式を明後日に控える。

そんな日、私は久しぶりに夜の街に繰り出した。

変わらない光景と、激しく鳴り響くバイク音。

暴走族の多さを物語っている。

いつものように博明さんの後ろにまたがる。

私たちを筆頭にウチの族と光の族が絡み大所帯となっている現在。

道路は私たち暴走族が占領している。

他の暴走族も活動をしているようで、絡まれた。

夜の街で大乱闘…

相も変わらず、圧倒的な強さで勝利した私たちは、朝方まで暴れ回っていた。

そして、家に帰り、そのまま準備して学校に向かう。

もう慣れたけど、少し寝不足なのよね。

って呑気なこと言ってる場合じゃないわ!

早く準備しないと。

私は準備して家を出た。そこには変わらない笑顔の信都さんが、

「おはよ?」と迎えてくれる。

「おはようございます」と笑顔で言うと、私たちは歩き出した。

「明日、卒業なんですよね。信都さん、早かったですね、1年、ほんとに…」と私が言うと、

「ほんとにね。しばらくは俺忙しくて相手できないかも知れないけど、愛想つかさず、俺のこと待っててくれる?」と信都さんは言ってきた。

意外だった。信都さんからそんな言葉を聞くなんて。

「もちろんです。これからもずっと一緒に…」と私が言うと、強く抱きしめられた。

そうこうしてるうちに学校についてしまう。

何となくまだ離れたくなくて、信都さんの手を離せずにいた。

そしたら先輩に、また、グランドのド真ん中でキスをされた。

「また後でね」って。

そのまま走り去って行く信都さんの背中を見送りながらまた呆然と立ち尽くしてしまう。

「最後まで相変わらずやね。おはよ?突っ立って無いで教室向かおうか?」と後ろから声をかけられて振り向くと、高見さん弟が!

「おはようございます、会長」と私が言うと、

「もう会長じゃないんだけど?」と笑われた。

とりあえず教室に向かって歩き出した。

くつ箱のところで光にあった。

「おはよ?朝からおあついもの見せていただきました~」とふざけるような挨拶をされた。

「おはよ、放課後いい?」と私が言うと、

「OK、何?」と言った。

言いたいことは感づいてるはず!

私たちは教室に向かった。

今日は授業はお昼までで、昼からは明日の準備になっていた。

朝からの授業をあっさり終えた。

ー昼休み

私と光は食堂に向かって歩き出した。

廊下で男子生徒とぶつかった。

ん?この感覚…前にもあったわね。

「ねぇ、またぶつかっといて謝らないの?」って少し優しめに言ってみた。

「あぁ?うっせんだよ!」ってやっぱり。

私はキレそうになってしまったが、光がグッと止めた。

そして、「兄ちゃん、ぶつかったら謝るもんよ?普通…」と言ったのだ。

私の顔を睨み付けるように見た男は頭を下げて去っていった。

またかよ!と私は思った。

何とか食堂に着いて、先輩たちを探した。

相変わらず早く着いていて、私たちを呼んでくれた。

私たちは信都さんのところまで行って座った。

「このメンバーで、この食堂で食べる最後の日だね」と高見さん弟は言う。

実はそうなる。信都さんと会長は明日卒業する。

私たちは噛み締めるように、四人で過ごす最後のお昼休みを楽しんだ。
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