あの日、私は兄に誓う
後日ー

私と博明さんと光の3人で食堂にいる。

私的には顔合わせ…けど、不安でたまらない。

「お久しぶりです…」なんて礼儀正しいご挨拶をする光。

「話は聞いてる。てか、キミのことも知ってる。アイツが助けたやつの中で唯一、心配してたやつだ…。それに、ウチを潰しに来たやつら、及びにキミの所を潰そうとしたやつを潰した…」と博明さんは言った。

周りから見れば、不思議な会話?

けど…いたって真面目な話をしてる。

ってまぁ、ここまででかい食堂、誰も周りのやつらには興味なく、お互いそれぞれに話してる。

要するに、気にされてないということ。

「返事ください…」と光は迫ってくる。

「覚悟あるんだな?ウチと結ぶということは…ウチはキミを守るけど、キミもウチを守るってことだからね?裏切りは禁止だよ?」と博明さんが笑顔で言えば、

「もちろんです。同盟を結んで一緒にトップになりましょう!!」と光は言って、握手を求めたので、私も博明さんもしっかり光と握手をした。

その日から私はトレーニングも始めた。

勉強、トレーニング、暴走族…忙しく毎日夜な夜な掛けずり回ってる。

ある日ー

私たちはある族に遭遇した。

『エンドロール』と言う族だ。いきなり喧嘩を売られた。

私は極力乱闘は避けてきた。

けどね…今日は避けきれないの!!

私たち暴走族の昇格試験みたいなものだから。

いわゆる、『タイマン』と言うやつを宣言されたのだ。


これに勝たなければ、私達は潰されるかもしれない。

地位をあげるために戦わなければいけない相手なのだ。

不安で体が震える。広い荒れ地にバイクを止めて、両者向かい合う、私達、永遠とエンドロール…。

重苦しい空気が流れるー

先手を仕掛けてきたのは相手。No.2のやつだ。

「へぇ~女がこの族守ってんだぁ~」ってばかにしたような言い方に舐めるように上から下まで凝視してくるコイツに嫌気がさした。

ほんとは殴りたかった…。けど、怖くて顔がひきつりそうになる。

「姫…じゃなかった!!総長下がってて下さい!!俺らが相手します!!」と私の族の一人の青年が私の前に立った。

「へぇ~総長が守られてるんだ?まぁ女だから仕方ないよね…」なんて更に追い討ちをかけるような挑発…。

頭ではわかってる。こんなダサい挑発しかできない偏差値クソのゲスだって…。

けど、総長として私は大人しく引き下がるわけにはいかない…。

気づいたら私、こんなことを言っていた。

「ウチをなめてもらったら困りますよ!お兄さん。誰に喧嘩売ってるか、わかってるんですよね?」と。

その私の言葉が引き金となり、両族の大乱闘が始まった。

私だけ見てるなんてこと、出来るはず無いのに…皆は私を守ろうとする。『姫』として。

けど、総長である以上、守られてるだけでは示しがつかないので、派手に暴れてやった。

脅威的な左の1パンチで次々に相手を沈める私をただ呆然と見守っている族のメンバー達…。

そして気づけば敵は全員沈んでおり、相手がいなくなっていた。

そこで博明さんに抱き締められた。

「ムチャしないで…心臓に悪い…」って。

ごめんなさいと小さく謝ると更に強く抱き締められた。

「キミのこと、大切なんだよ!皆…」と博明さんは言った。

それは私がお兄ちゃんの妹だから?

それとも…女だから?

私の硬い頭で考えたってそんなのわかりっこない。

博明さんは笑いながら私の頭を撫でた。

「女だからでも、アイツの妹だからでもない。お前は誰よりも大切な仲間であり、総長だからだよ!皆、尊敬してるし、お前だからついていきたいとも思ってる。だから、そんな顔すんなよ!」って。

どんな顔!?なんて思ったけど…嬉しかった。

私、やっぱり博明さんのこと大好きだな…

沈んでたクセに…いきなり立ち上がったかと思うと、No.2の男は私に突っかかって来た。

私は大きくため息をついた。そしてソイツを睨み付けた。

「あんたさぁ、脳無しなんじゃないの?ダサい挑発はゲスのすることだよ」と言ってやった。

ウチのメンバーは大爆笑していた。

頭に血が上ったのか、No.2の男は私の胸ぐらを掴んだ。

「やーん、セクハラー」なんて思ってないけど言ってみた。

「…ふざけるな…」だってさ。

ホントにバカだよね。学習能力なさそう。

「また1発食らいたいの?もしかして…ドM?1発じゃ、足りなかった?」と私は笑顔で言ってやる。

No.2の男は私を乱暴に離すと皆と去っていった。

「さぁ、今日はキレイな勝利に…パーティーよ!朝まで騒いじゃお!」と私は言って、朝日が昇るまでバイクで散々騒いだ。

そして私たちは朝帰りをしてそのままシャワーを浴びて…準備して家を出る。

お母さんは何も言わない。

ほんとは色々言いたいことがあるのはわかってる。

でも、お兄ちゃんがいなくなって…私が変わってしまった…そう思っている。

それに、博明さんがいてくれるから…だからお母さんは何も言わずに我慢してくれてる。

もちろん、成績も保ってるしね。
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