あの日、私は兄に誓う
「光はどうなの?」と私が聞くと、苦笑いしながら、

「俺?うちのクラスは一致団結でかなりやる気満々だよ‼」と言った。

いいなぁ、和気あいあいとしてて。

「うちのクラスは…皆、ピリピリしてて、一人一人が足引っ張んな!みたいなオーラ全開で個人で頑張ってるから、なんか、重い。私も皆と一致団結、和気あいあいと勉強楽しみたかったのにさ」と私は思わず光に愚痴った。

そんな私の愚痴さえも笑顔で聞いてくれる光は心の広い人だと思う。

「それは辛いね。けど…俺にいつでも愚痴れば良いし、頑張って?話聞いてやるくらいしか出来ないから」と優しく笑って背中をトントンしてくれた。

その言葉に救われた私は改めて頑張ろうと決意する。

そして、私は次の授業に挑むため、教室に戻った。

幸い?次の授業は得意科目だったので、時間はあっという間に過ぎていった。

何とかなって、昼休みー

私は教室を出た。

「香、飯、食堂行くよな?」と光が誘いに来てくれたので、私達は廊下を歩きながら食堂に向かった。

周りから圧力をかけてくる足音。

私達は追い付かれないように、早歩きで向かった。

3年の教室からは一番近いので、普通に歩いても先につく。

それでも追い付かれたらやっぱり気分悪い。

邪魔されるのは納得行かないのだ。

無事追い付かれることもなく、食堂についたのだが…

私はすぐに囲まれた。生徒会のメンバーに。

何でよ!先輩らは自由だったじゃない!私はかなり縛られてるよね?

まあ、仕方ないか。

てか、食事の時くらい普通に食べさせてほしいわ。

「会長…」って毎日疲れるのよね。

「お食事の時くらい、仕事の話はやめてもらえるかしら?ただでさえメンタルやられそうなのに」と私は言ってご飯を取りに行く。

放置されたメンバーは呆然と立ち尽くしている。

「メンタルやられてんの?」と現れたのは意外な人物だった。

「たっ、高見さん?!何であなたが…」驚いた拍子に声が上ずってしまった。

そう、そこにいたのは卒業したはずの高見さん、お兄さんのほうがいた。

「はは、驚いたよな?ノギリンに頼まれてね、様子見に来たの。飯、まだなんやけどご一緒していい?」と言われた。

もちろんです‼

私達は席をとり座った。私の横には光が座った。

周りはざわつく。そりゃそうでしょ。卒業した2年も上の生徒会長が食堂でご飯を食べているのだから。

「毎日、生徒会お疲れ様。この時期は一番忙しい時期だから大変だろう?」と声をかけてくれた。

「そうですね。毎日忙しいし、クラスの空気は重いから…いくら私でもメンタル潰れそうで」と私は言った。

「そっかぁ。大変やな。放課後生徒会室行くからまあ、頑張ってよ!」と言ってくれた。

私はただただ驚いている。

ふと、高見さんは言う。

「にしても、食堂で飯、食ってるやつ多いよな?」って。

「そりぁ、香のマニフェストのおかげで利用者増えてるんっすよ!」と誇らしげに言う光。

突き刺さる痛い視線。

なのに、光と高見さんは平然としている。

痛い視線なんて気にならないようだった。

「…ねぇ、視線痛くないの?」と私が聞けば、

「あぁ?何で?悪いこともしてないのに、睨まれる必要無くね?俺ら」と光と高見さんは同じことを言いながら、周りを睨み付けてる。

ってこの二人、ほんとに肝座ってるわ。

高見さん弟の方だったら絶対あり得ない。

私の気が小さいのかな?

そこに咳払いをしながら現れたのは…ノギリン?!

「俺も混ぜてよ。ここで飯、食うし」と言ってきた。

ダメよ!ノギリンまで混ざったら。

威圧感半端無いんだから!

私の複雑そうな顔なんて無視して平然と食べ始めるノギリン。

生徒会のメンバーと食べるより怖いわ。

はあぁ、去年はほんとに平和でこの時間が楽しくてしょうがなかったのに…今では苦痛でしかないわ。

私は席をたつ。「香、待ってよぉ~、置いてかないで?」って光は上目遣いしてくるの!

ズルい。

「センセ、高見さんまたね」私はそう言い残すと食堂を後にした。


光はついてくる。今はついて来ないでほしいのに。

一人になりたかった。心に余裕がないの。

「……」私も光も暫く無言だった。

屋上に上がった私たち。深呼吸をした。

「…ねぇ、私って気が小さいのかな?すぐに周りとか気になっちゃうの」と私が言うと、

「…まあ、うーん。難しいけど、気が小さいとかじゃないと思うけどね。去年の方が平和だったとか思ったでしょ?」と光は言った。

気づいてたのね。私は正直に頷いた。

「確かに、真逆かもしれない。兄弟だけど、あの人ら。どちらかと言うと、香は弟さんタイプ、俺はお兄さんタイプだと思うな」と冷静に光は言った。

私もそうな気がしてる。

そんな話してると予鈴がなってしまった。

私達は急いで教室に戻った。

相変わらず重苦しい空気、息が詰まりそうになる。

何とか授業も無事終わった。

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