あの日、私は兄に誓う
何とかチャイムがなり、テストは終わった。

それを三教科繰り返した。

明日も三教科ある。

ふぅーやっと今日のテストは終わり教室から出ると、光と目があった。

「久しぶりに甘いものとか食べて帰らない?」と私が言うと、

「…俺、甘いもの得意じゃないんだけど、香と一緒に過ごせるならまぁいいか」と独り言のように言いながら、私達は歩き出した。

そっか、光甘いもの得意じゃないのね。信都さんはメッチャ甘党だからうっかりしてたわ。

バレンタインはそれなりのもの考えないとね。

私達は学校を抜けて、あるカフェを訪れた。私の行き着けだ。

私は「こんにちわ~」と言ってドアを開けた。

「香?久しぶりじゃーん」と若いマスターは言ってくる。

「…親しいの?名前で呼ばれてるけど?」と不思議そうに返してくる光。

「…はは、初めての方だね。おにーさん」と若は言った。

そう、このお店は長いこと点在し、代が変わっても雰囲気を損なわないように、今の若が守っている。元々若のお父さんがしていたんだけど、体調を崩されて出来なくなってしまった。そんなとき、息子である若が継ぐ決断をしてくれた。

そんなお店だからこそ、私はここの常連になった。まあ、若になる前から私はここに通ってるんだけどね。

「若、いつもの。甘さマシマシで」と私は注文した。

「俺はえっと…」と見渡してメニューを見つけられないのか、光はキョロキョロ視線をさ迷わせている。

「…メニューね?ゴメンゴメン。常連多くてついうっかり」と若は言ってメニューを出した。

が、光は「甘くないやつどれですか?」と言い出した。

「あら?今時は甘党男子も多いのに…苦手?香の彼氏さんは激甘党よね~」って若の口調が少し女性っぽくなってる。

「エスプレッソいっとく?」と私が聞くと、「あー、うん。それで」と光は言った。

「リョーカイ」と若は言って準備を始めた。

「今日のお茶うけ何がいいかしら?」と私が聞くと、「オススメ?チョコムースのケーキよ。大人なビターチョコ」と若が言うので、それを頼んだ。

光は何も頼まなかった。

「最近思うけど、若さぁ、たまに口調がオネェよね」と私が言うと、

「あはは。確かにそうかもね。こんなんだからかしらね?彼女も出来ないの…」と若は言った。

そう、このイケメンで気遣いの出来る若が独身なんて不思議なくらいだった。

「あは!そうかもよ?イケメンで優しくて気遣いの出来るこんないい男に恋人に出来ないなんて。みんな見る目無いわよね~」と私が言うと、嬉しそうに笑いながら、

「なら、彼氏と別れて俺の女に香がなってくれや?」と若は口調を変えてきた。

不思議なことに、オネェ口調かと思えばいきなり男に戻ったりするのよね。

こんな若が私は好きだけど。

「嫌ですぅ。別れる気無いもん。けど、フラれて別れることになったらもらってください♡」と私が言うと、舌打ちしながら別れねぇクセにと呟かれたが私はスルーした。

そんな痴話喧嘩みたいな会話を楽しそうに光は見ていた。

そこでメイン?が出された。

私達は一口同時にすすった。「ふぅー落ち着く」と私の口からは漏れていた。

「…美味しい…」光は感動したように言った。

「でしょ?若が入れるコーヒーが私は大好きなの。他のカフェで飲むどんなコーヒーよりもここのが一番だと私は思ってるのよね。だから気づけばここに来ちゃう」と私は言った。

若は嬉しそうに「ありがと。そーいってもらえるとここで頑張ってる意味があるよ」と笑ってくれた。

ほんとはみんなに教えたいくらいなの。

ここの、コーヒーの美味しさを。

私と光は他愛ない会話を始める。そうすると若は邪魔はしない。

私はこの雰囲気が大好き。若の優しさに甘えながら、愚痴とかを存分に光にぶちまけた。
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