あの日、私は兄に誓う
光はうんうんて笑顔で話を聞いてくれた。

時には私の目から涙。若は何も言わずにティッシュケースを置いてくれた。

内容を聞いてどうこう、言うわけでもない。ただ何も言わずそばにいてくれる。

アットホームな空間のせいかしら?それともなれた場所だからなのか?

私は涙が枯れるのでは無いかと言うくらい泣きながら、早口でまくし立てた。

私の悪い癖だ。

けど、そんな悪い癖さえも嫌な、顔ひとつしないんだから、光って凄いよね?

私はすぐに顔に出ちゃうもん。

ふぅーとしばらくして息を吐くと、

「サービスです。いつもありがとね」と優しい若はコーヒーのおかわりを入れてくれた。

そう言えば、信都さん妬いてたことあったわよね。初めてここ来たとき。

あまりにも若と私が仲よしなものだから。

あのときスッゴい睨んでたっけ?けど…確か、若がケーキ出して、「大丈夫ですよ。仲よしだけど、人の女には手を出さないので、これでも食べて許して?」と言ったんだっけ?

それで信都さんは許してくれたんだよね。確か。

思い出して私は笑ってしまった。

「なに笑ってんの?」ふいに光に聞かれた。

「初めて信都さんと来たとき、確か信都さん若に妬いてたなぁ~って」と私が言った。

「そっか。今更なんだけど、マスターのこと、何で若なの?」と光が聞いてくる。

「ここの先代をマスターって呼んでたからかな。世代交代したとき、マスターまだ若かったしね」と私が言うと、光は納得したらしい。

結局、二、三時間平気で居た私達は家に帰った。

「ただいま~」と言って中に入ると、今日は博明さん来ていないのか、居なかった。

そりゃ、いつもよりは早い帰宅だもん。

けど、少し安心した。ちゃんと仕事行ってるんだと。

私達はご飯を食べて、私は部屋に戻る。

そして勉強を始めた。

翌朝ー

いつものように準備して家を出た。

光が迎えに来てくれてるので二人で並んで歩きながら学校に向かった。

校門に着いた辺りで騒がしいことに気づく。

『なんだろう?』と私と光は顔を見合わせて固まってしまった。

ライバルが攻めこんできたのだ。


私は動けずにいる。逃げ出したかった。他のこと考えてる余裕なんてなかった。

今襲われても対応しようない。

体は恐怖?からなのか小刻みに震え始める。

ふと、光が私の手を握ってくれた。

「大丈夫、大丈夫」って私を落ち着かせようと。

そしてゆっくりと中に足を踏み入れた。

相手が私たちに気づいた。そして同じくらいのスピードで近づいてきた。
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