あの日、私は兄に誓う
数日後ー

冬休み前の最後の仕事、終業式を迎えた。

長かったけど、色々ありすぎた1年を染々振り返っていた。

そこにあの時の刑事さん?が現れて。

終業式は一気に私の表彰式となってしまった。

皆から送られる、拍手に言葉も上手く出てこなかった。

ありがとうございますと頭を下げるので精一杯だった。

冬休みに何とか入ったが私は何かと理由をつけて、学校に来ている。

部活の練習も見守りながら、学校内を巡回した。

年が明けたら、私はすぐ卒業だし、生徒会も引退する。

それまでにやらなければいけないことが山ほど残っている。

新規メンバーも決めないといけない。

誰を会長に指名するかも、考えないといけない。

物怖じせず、相手関係なしにちゃんと向かっていけるような子を選ばなければいけない。

そんな子…私は彼しか思い付かない。

尊君だ。

うん、休み明けたら彼にそれを伝えよう。

そう決意して、私はそのための引継ぎ資料など、揃えることになった。

何時間没頭していたのかはわからなかったが、コーヒ-が置かれたことに気がついた。

ふと、顔をあげると、ノギリンがいて。

「いつもありがとな。最後まで」と最高の笑顔を向けてくれた。

ちょうどいい!ノギリンに言ってみよ。

「ねぇ、先生、次の会長は誰がいいですかね?」と私が言うと、

「一応候補はいるんだろ?」と言われてしまった。

「はい!物怖じせず、先輩、後輩関係なく、誰にでも、間違ったことは注意できて、度胸のある子です。私はそんな子、一人しか知りません」と私が言うと、

「まあ、そうだろな。うん。俺は賛成だよ」とノギリンはやさしく笑ってくれた。

ノギリンは知ってる。多分尊君のことを言ってることを。

「長かったけど、この1年はほんとに色々ありましたね~」と私は言った。

年明けたら3年の私たちはほとんど登校しなくなる。登校日以外は任意なので、登校しなくていい。

登校する3年は、まだ決まってなかったり、ラストのあがきをする人だ。

私はあいにく、登校する義務はない。

まあ、引継ぎとかで来ることはあるかも知れないけど、教室に行かなくていいのは心が少し軽かった。

「よく耐えたな。もう少しだから頑張れよ」と優しくて大きな手は私の頭をそっと撫でた。
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