あの日、私は兄に誓う
「すごい…こんなことよくしてましたね!こないだの…感謝状の時も感じましたけど」と尊君は言う。

「大変だったわよ~。けど後悔はしてない。自分の仕事最後まで全うしたと思ってる。後のことはあなたに任せるから、引き継ぎは軽いものにしましょう!」と私は言った。

「はい!ありがとうございます。兄との関係も良好で、家族にも笑顔が戻りました‼」と笑ってくれる尊君。

そう良かったわ、と私も笑顔を返した。

「先輩…苦しんでませんか?」不意に尊君に聞かれた。

苦しみ?そんなのたくさんある。けど…尊君には最後まで笑っていて欲しかった。

「ーん?心配してくれるのは嬉しいけど、大丈夫よ!最後まで笑っていてくれないかな?それだけで充分よ」と私が言うと、

気持ちを察したのか、笑ってくれた。

翌日から、私は毎日学校に通い、尊君に引継ぎをした。

光や他の3年生はほとんどいないけど。

ノギリンは私の一番近くで見守ってくれていた。

2月に入って完全引き継ぎを終えた私は達成感に浸っていた。

後半は、私はほとんど来なかった。

卒業式までにできる限りの準備は整えた。

バレンタインの日はいつものように、博明さんに1番に渡して…。

高見兄弟、光にも渡した。

お礼も兼ねて、葵さんにも渡した。

そして!彼氏である、信都さん。

デートを楽しんでから、渡した。

2月なんてあっという間に過ぎてしまった。

迎える3月ー

卒業の日、式も無事終り、桜の木の下、色々と思い返す。

お兄ちゃんと同じ学校を選び、お兄ちゃんが残した宝物も守るために、暴走族の総長になった1年生…

あれからほんとに色んなことがあってたくさん暴れてたくさん泣いた。

そんな思い出が昨日のように甦ってきて、少し寂しさも感じる。

けど…これから始まる新しい人生に少しドキドキもしている。

ふと、気配を感じ、振り向くと、ノギリンがいた。

「卒業おめでとう。色々迷惑かけっぱなしですまんかったな。俺もお前のおかげでどれだけ頑張れたか…新たなスクールライフも楽しんでな」と声をかけてくれた。

私は泣きながらノギリンと熱い抱擁をした。

「センセ、ほんとにありがとう」って。

そう言葉にするので精一杯だった。

しばらくして、優しく背中をポンポンされて少し落ち着いて顔をあげると、

「ほら、彼氏迎えに来てるよ!」と笑顔で言われて離された。

言われたほうをむくと、信都さんが立っていた。

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