あの日、私は兄に誓う
博明さんの学校卒業の日ー

私は泣きながら「おめでとうございます」と言うのだった。

「泣くなよ…。いつでもあえんだから…」と優しく抱き締められた。

それもそうなんだけど…溢れた涙はそう簡単に止まってはくれなかった。

「会長、ご卒業おめでとうございます。たくさん支援してもらい、助けてもらってありがとうございました」と私は会長(改め、高見さん)の方に行き、挨拶をした。

「いえいえ、こちらこそ。俺の方こそ、キミに会えたこと忘れないよ。たくさんの偉業と、努力…これからも頑張ってね。もう会長じゃないんだから、いい加減呼び方考えてもらわないと…だけどね」

そう声をかけられて、私は泣きそうになった。

頷くと、優しく頭を撫でられた。

「また会う機会あれば声かけてね~」って颯爽と去っていく高見さんの背中を見送った。

そんな様子を博明さんは見ていた。

特に何を言うわけでもなく。

その日、私はナゼか活動に参加しなかった。

総長である私が参加しないとか…ほんとは考えられない。

けど…今日だけはそんな気分になれなかった。

だから改めて、進路を考えることにしたのに…

しばらくして、博明さんから電話がかかってきた。

『すぐこい』それだけ言うと、電話は切れてしまった。

はぁ、何で…?!

と思いながらも、とりあえず支度して家を出た。
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