ぬり絵 -花言葉でラブレター-
次の日、僕は文化祭を休んで、鈴菜のところへ行った。
どちらにせよ僕はいなくても良かったので特に変わることはないだろう。
コンコン、とドアをノックして
「はいよー」
と、気の抜けた鈴菜の声を聞いてから、僕は扉を開ける。
「あ、柊也、おはよう。
今日は早いねぇ
好きを自覚して私の大切さに気づいたか!」
ドヤァと言いたげな鈴菜に少し腹が立ったので、
お前はずっと大切だよ、と言うと、
顔を少し赤くして、ありがと、と満面の笑みで言ってくれた。
「あ、そうだ!見て見て!」
鈴菜が引き出しから、何やら紙束のようなものを取り出す。
「じゃーん!ぬり絵!!」
取り出したのは、おばさんに渡した時のような、見事なぬり絵だった。
「お前、これいつの間に...」
「ずっとやってたんだよ~
お母さん優先してたから出来上がるの遅くなっちゃったけど」
つまり、おばさんの時と同時に買ったってことだ。
僕にあげるつもりでもあったのか...
「はいっ!」
元気よく渡され、ありがとう、と受け取る
あ、全部に花言葉が書いてある。
「気づいた??
柊也はどうせ忘れちゃうだろうから、花言葉も書いておいてあげたよ」
ドヤ顔で言われる。
一つ一つの花に鈴菜の、俺への気持ちがこもっていて、凄く嬉しかった。