女神の祝福
おかゆが食べやすい温度になるまで待っている間に服を買ってきた。


ドアの音に男の人は目を覚ました。


「…誰だ」


私と目が合うと威嚇するように睨んで言った。


なんだか、怯えた動物が威嚇しているようで恐くはなかった。


「学校の帰りにあなたが倒れているのを見て、家まで連れて来ました」


「…そうか。助かった」


眉間に皺を寄せて起き上がろうとする体に手を貸しゆっくり上半身を起こした。


だけど、このまま帰られては看病が無駄になってしまう。


「まだ熱が下がりきっていません。今日はこのおかゆを食べて汗を拭いておやすみになられて下さい」


そうできるだけ優しい声で言うと、男の人は従うように立ち上がろうとする仕草をやめた。


その行動に微笑み、お粥をレンゲで掬い口元へ持っていった。


男の人は戸惑いながらも口を開けてくれた。
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