LOVERS!!
私の春 伊藤 結衣
「ねえチェロ、今日はあったかいね」
私は愛犬のチェロを連れて公園を散歩していた。
桜が満開になってたから、公園は花見をしている人たちでいっぱいだ。
それに今日はいつもよりも暖かくて気持ちが良い。
カーディガン一枚で外に出るのなんていつぶりかなあ。
でも頭の中は明日から学校が始まるっていうことでいっぱいだ。
なにを考えているかといえば、クラス替えのこと。
昔から病弱で引きこもりがちだった私は、友達も少ないし上手く話すのも得意じゃない。
だからクラス替えは緊張する。
友達なんて小さい頃から引いているピアノと、今一緒に散歩しているチェロくらい。
そのことを考えると何とも憂鬱な気分になってしまう。
とはいえ満開の桜の下でそんなことを考えるのも勿体無いし、春の風を感じながらゆっくり歩き続ける。
公園の奥まで行ったあたりで、妙に騒がしい集団が目に入った。
多分友達同士でお花見に来ている高校生だ。
男子四人で何か騒いでいる。
「あの人たち元気だね、チェロ」
しばらく眺めていると、四人がただ騒いでるんじゃないということに気づいた。
「あれって…」
四人は友達同士ではなくて、一対三でモメテいるようだった。
「男の子って大変そう」と心の中で思いながら、ドラマみたいな光景から目が離せなくなっていた。
「いいからやめろよお前ら!」
三人に向かって一人の男子が言っている。
何かされたのかなと思っていると、後ろに一人同い年くらいの女の子が隠れていた。
私が思うに、いじめられている女の子を突然登場した男子が助けてるって感じ。
一人の男子があまりにも必死だからか、三人側もついに引いた。
「お!チェロ、あの人勝ったね!」
やっぱりそうだ。隠れていた女の子は助けていた男子にペコペコ頭を下げている。
男子もまんざらでもなく照れているみたい。
「チェロ、あれが恋の始まりってやつかなあ?」
生まれてからこのかた恋をしたことがない私にとって、二人の雰囲気はとっても微笑ましかった。
別に恋したいなんて思ったことはないけどね。
だって、まず友達がいないし。
なんてことを思った途端、急にまた明日からの学校が不安になった。
クラス替えかあ…。
一年生の頃はほとんど誰とも会話しなかったから、二年生になったら友達を作ろうとは思っているんだけど…。
助けられた女の子と助けた男子はそのまま二人で公園の外に歩いて行った。
「チェロ、やっぱり始まったね。恋が。」
チェロも頷いた。多分だけど。
「明日からどうしようー!」
私の春はもう始まってしまった。
私は愛犬のチェロを連れて公園を散歩していた。
桜が満開になってたから、公園は花見をしている人たちでいっぱいだ。
それに今日はいつもよりも暖かくて気持ちが良い。
カーディガン一枚で外に出るのなんていつぶりかなあ。
でも頭の中は明日から学校が始まるっていうことでいっぱいだ。
なにを考えているかといえば、クラス替えのこと。
昔から病弱で引きこもりがちだった私は、友達も少ないし上手く話すのも得意じゃない。
だからクラス替えは緊張する。
友達なんて小さい頃から引いているピアノと、今一緒に散歩しているチェロくらい。
そのことを考えると何とも憂鬱な気分になってしまう。
とはいえ満開の桜の下でそんなことを考えるのも勿体無いし、春の風を感じながらゆっくり歩き続ける。
公園の奥まで行ったあたりで、妙に騒がしい集団が目に入った。
多分友達同士でお花見に来ている高校生だ。
男子四人で何か騒いでいる。
「あの人たち元気だね、チェロ」
しばらく眺めていると、四人がただ騒いでるんじゃないということに気づいた。
「あれって…」
四人は友達同士ではなくて、一対三でモメテいるようだった。
「男の子って大変そう」と心の中で思いながら、ドラマみたいな光景から目が離せなくなっていた。
「いいからやめろよお前ら!」
三人に向かって一人の男子が言っている。
何かされたのかなと思っていると、後ろに一人同い年くらいの女の子が隠れていた。
私が思うに、いじめられている女の子を突然登場した男子が助けてるって感じ。
一人の男子があまりにも必死だからか、三人側もついに引いた。
「お!チェロ、あの人勝ったね!」
やっぱりそうだ。隠れていた女の子は助けていた男子にペコペコ頭を下げている。
男子もまんざらでもなく照れているみたい。
「チェロ、あれが恋の始まりってやつかなあ?」
生まれてからこのかた恋をしたことがない私にとって、二人の雰囲気はとっても微笑ましかった。
別に恋したいなんて思ったことはないけどね。
だって、まず友達がいないし。
なんてことを思った途端、急にまた明日からの学校が不安になった。
クラス替えかあ…。
一年生の頃はほとんど誰とも会話しなかったから、二年生になったら友達を作ろうとは思っているんだけど…。
助けられた女の子と助けた男子はそのまま二人で公園の外に歩いて行った。
「チェロ、やっぱり始まったね。恋が。」
チェロも頷いた。多分だけど。
「明日からどうしようー!」
私の春はもう始まってしまった。