LOVERS!!
君のいない春 佐藤 彩音
桜はまだ咲かない。
というより、咲いても寂しい。
毎年楽しみにしていた花見も、今年はきっと寂しい。
蓮が東京へ引っ越してからまだ三日なのに、どうしてこんなに寂しいんだろう。
今日は二年生になってから初めての学校だった。
クラスも替わって担任は新人の上田先生。
後ろの席は同じ名字の香織。
楽しい二年生が送れるって喜んでいたのに。
蓮がいなくなってから三日間、寝る前は毎晩こんな気持ちになって一人落ち込んでいる。
今日の失態は朝の電話。
「頑張って彼女作りなよ!」なんて言ってしまった。
私はまたこうやって自分から蓮を遠ざけるようなことばっかり…。
まだ幼稚園に通っていた頃、七夕の日にお願い事を書く行事があった。
私はどうしても蓮がなんて書いているのか見たくて、コッソリ覗いたのを覚えてる。
そこに書いてあったのは「あやねちゃんにおよめさんになってもらう」だった。
幼いながらにキュンとしたの。
それからずーっと私の将来の夢は「蓮のお嫁さん」。
それなのに私は素直じゃないから、そんな素振りは一瞬も見せずここまで過ごしてきた。
どんな日だって毎日蓮は隣にいた。それなのに…。
結局「好き」って言うこともないまま、蓮の中で私は「一番昔からの幼馴染み」っていう存在になってしまった。
「今更…」とか「好きじゃない…」とか、無駄なことを何度も自分に言い聞かせてしまった。
そんな事をしているうちに蓮は東京へ行ってしまった。
物語はこれからだと思っていたのに、一ページ目で失恋。
「蓮に彼女できたらどうしよう」って心配になってる自分も嫌いだけど、蓮の前で変に強がる自分はもっと嫌い。
もう諦めなきゃなあ…。
「あ、そういえば」
こんな私だけど、実は案外モテモテ。自分で言うのはどうかとも思うけど。
今日新しいクラスで知り合った「進吾くん」っていう人から、今度デートしないかって誘われたのを思い出した。
今までは蓮が近くにいたから、男の子からの誘いとか告白は全部断ってきた。
でも、私も変わらないといけないのかな。
「あ、そうだ」
何を思ったのか、デートに行くか行かないかを蓮に相談する事にした。
来週あたり電話しよう。
そうして今日も眠りにつく。
君のいない春は、寂しいよ。
というより、咲いても寂しい。
毎年楽しみにしていた花見も、今年はきっと寂しい。
蓮が東京へ引っ越してからまだ三日なのに、どうしてこんなに寂しいんだろう。
今日は二年生になってから初めての学校だった。
クラスも替わって担任は新人の上田先生。
後ろの席は同じ名字の香織。
楽しい二年生が送れるって喜んでいたのに。
蓮がいなくなってから三日間、寝る前は毎晩こんな気持ちになって一人落ち込んでいる。
今日の失態は朝の電話。
「頑張って彼女作りなよ!」なんて言ってしまった。
私はまたこうやって自分から蓮を遠ざけるようなことばっかり…。
まだ幼稚園に通っていた頃、七夕の日にお願い事を書く行事があった。
私はどうしても蓮がなんて書いているのか見たくて、コッソリ覗いたのを覚えてる。
そこに書いてあったのは「あやねちゃんにおよめさんになってもらう」だった。
幼いながらにキュンとしたの。
それからずーっと私の将来の夢は「蓮のお嫁さん」。
それなのに私は素直じゃないから、そんな素振りは一瞬も見せずここまで過ごしてきた。
どんな日だって毎日蓮は隣にいた。それなのに…。
結局「好き」って言うこともないまま、蓮の中で私は「一番昔からの幼馴染み」っていう存在になってしまった。
「今更…」とか「好きじゃない…」とか、無駄なことを何度も自分に言い聞かせてしまった。
そんな事をしているうちに蓮は東京へ行ってしまった。
物語はこれからだと思っていたのに、一ページ目で失恋。
「蓮に彼女できたらどうしよう」って心配になってる自分も嫌いだけど、蓮の前で変に強がる自分はもっと嫌い。
もう諦めなきゃなあ…。
「あ、そういえば」
こんな私だけど、実は案外モテモテ。自分で言うのはどうかとも思うけど。
今日新しいクラスで知り合った「進吾くん」っていう人から、今度デートしないかって誘われたのを思い出した。
今までは蓮が近くにいたから、男の子からの誘いとか告白は全部断ってきた。
でも、私も変わらないといけないのかな。
「あ、そうだ」
何を思ったのか、デートに行くか行かないかを蓮に相談する事にした。
来週あたり電話しよう。
そうして今日も眠りにつく。
君のいない春は、寂しいよ。