第二部 母と妻と女の狭間で・・・ 留学時代編
 席につくと、あさひから

「で、ほんとに、住むとこどうすんの?」

 ってか、昨日あれだけ言ったのに、
まだ、信用してないのが、ショックだった。

「いや、だからここにお世話になります」

「それ、マジで言ってんの?
ここ部屋ないの知ってんじゃん?」

〈はぁー、これだから男はダメなんだよね。
私が、これだけ言ってんのに、まだ本気に
してないんだ。
 そんなこと、ただの冗談で言う訳ないし、
まして、そんなこと言っておきながら、
そのまま泊まるはずないでしょ?
 そのまま泊まれば、誰が考えたって、
一緒に住むつもりだってわかりそうな
もんなのに、それを信用しないなんて、
男の往生際の悪さは、理解できない!
 だから、結婚する時は、女が性を
変えて、旦那の家に嫁ぐのかねー。
男は結局、情けない生き物なのかな?〉

「はい?部屋はあるでしょ?
昨日も言ったけど、あさひと同室、同ベッド。
OK?一緒に暮らします。
なにか問題ありますか?」

「いや、問題は無いけど、やりたくなったら
どうすんの?」

〈はぁー、またこれだ。
なんで男は、そればっかり気にするんだ
ろうねー
 やるのが嫌なら、一緒に、同じ部屋で、
同じベッドで、寝ないよ。それが、
OKだから、一緒に暮らすんだよ〉

 もう、ずーっと同じことの繰り返しで、
いい加減うんざりしてきた。

「もう良いでしょ?私はここであさひと
暮らすの!
 なにか、問題ありますか?
それとも嫌ですか?嫌なら他に行きます
けど?」

 そこまで私が言って、初めてあさひが、

「わかったよ」

 と一言。
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