第二部 母と妻と女の狭間で・・・ 留学時代編
 私は内心

〈やった!〉

 目の前に薄いピンクの桜の花びらが
舞い散り、入学試験の合格通知を
もらったみたいに、嬉しかった。

 今日から、私はあさひのもの。
希望に満ちた新しい生活が始めるんだ。
 
 そう思うと、自然と涙が溢れてきた。

「なに?泣いてんの?
なんで?」

〈こいつは、女心のわからない奴だな?〉

 でも、そんなあさひも可愛いと思った。

「いいの。ほら、学校行くよ!」

 そう言って、2人で学校に行く支度を
始めた。

 私は鍵がないから、あさひと一緒に
アパートを出た。

 今まで外に出る時、横には寧子がいた
けど、これからは、あさひ。

 思いもよらない事だけど、前を歩いて
いるあさひが、夢じゃないと教えてくれ
てる。
あさひ、あさひ、あさひ。

 私はあさひが好き。
今は、心からそう思う。

学校に着くと、寧子がいきなり、

「ねー、ちょっと、どうしたの?」

聞いてきた。

「昨日泊まったよ。
ってか、一緒に住むことにしたから」

「マジ!やったね!」

 寧子は、始めから応援してくれてたから、
ほんとに喜んでくれて、

「これで、二人とも旦那持ちだね」

笑いながら言った。

〈旦那かー〉

 その響きが私の頬を、無意識にピンク色
に緩ませた。
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