第二部 母と妻と女の狭間で・・・ 留学時代編
 アパートに帰るとあさひが、

「なに食べる?
俺いつもこの時間は、ラーメンだけど、
うちごはんがないから、パンと卵かベーコン
くらいしか無いけど」

 って、言いながら、とりあえず即席ラー
メンに卵を割ってお湯を入れた。
 黄色い黄身が美味しそうだったから、
私も同じものを頼んだ。

 日本でおかあさんが、

「即席ラーメンなんて、栄養がなくて
体に悪いから、やめなさい!」

そう言われて、食べたことがなかったけど、
いざ、食べてみると、

「美味しい!」

 しかも、日本で売っている奴より、
少し小ぶりで、おやつにはちょうどいい。

 確かに、栄養的には「?」って感じは
わかるけど、これで、「5袋 ¢99」
なら、悪くないと思った。

 なにより簡単だしね。
そしたらあさひが、

「前のルームメートの『アシュリー』って
インドネイジアンに教えてもらったんだ
けど、あいつはこれを、いったんお湯で
戻してから、全部お湯を捨てて、その後
粉末スープを掛けて食べてたんだよ。
 そう、まるで『焼きそば』みたいだった。
でも、焼きそばと違って、ラーメンの粉末
スープはお湯で溶かすようになってるから、
そのままかけたらしょっぱいと思ったんだ
けど、あいつは『そんな事無い、おいしい
よ』って言ってたんだよ。
 俺もやってみたけど、しょっぱくて、
無理だった」

「へー、面白いね」

 確かに面白い話だったけど、何より、
そんな他愛のない話を、あさひとしている
ことが、一番楽しかった。
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