顔も知らない相手
第二章 距離をつめるにはメールで!!
♯06
どうしよう。
連絡先を教えてもらってその日に登録お願いしますと送っただけで後は1度も送っていない。
チャットと違ってなんだか用事がないと気軽にメールを送ってはいけない気がして手をつけにくい。
「おーい。なにしとんの?」
前の席の冬華は後ろの席の私の顔を覗き込むようにしてこちらを向く。
「もう、さっきからずっと携帯の画面見てるけど?」
そう言いながら冬華は私から携帯を取り上げて画面を見る。
その画面には翔のアドレスだけ入力されているメール作成が表示されていた。
「ちょっとー勝手に見るな」
冬華から取り上げられた携帯を救出するべく手を伸ばしたが冬華の長い腕には届かずあっけなく空振りした。
なんせ私は150cmにも満たないチビ、良く言えば小柄な女子だから冬華のような身長の高い人にはいつも振り回され遊ばれるのだ。
「乙女やな~何?メールしたら向こうに迷惑かな?とかなんとか思って送られへんとか??」
全くの図星だが冬華のその馬鹿にしたような物言いに少しムッとなる。
「ごめんごめんwそんなふくれんとって」
私の変化に気づいたのか冬華がなだめる。
それでもまだ携帯を返す気がないらしくずっと私の携帯を握り締めたままだ。
そして持っていた携帯を冬華が操作し始めた。
私はびっくりしてまた携帯に向かって手を伸ばしたが再び躱される。
冬華がなにか入力し終えたのか手が止まりその画面を私に見えるように向けた。
『翔!!!ひさしぶり~~~((o(。 >ω<。)o))
今何してんの??私は今昼休みでお弁当食べてるよん♪』
なんじゃこれ!!
異常にテンション高いし昼休みではあるけど弁当は食べてないし、なにより語尾のよん♪が自分に不釣り合いすぎて気持ち悪い。
たった2行でこんなにツッコミどころのある文をつくれるとは…。
「返して!変なこと書かんとってよ。なにこのテンション高いメール。相手ドン引きやわ」
パッと冬華から携帯を取り返そうとして触れるが冬華は携帯を離そうとしない。
そんな冬華に鋭い目線を送ると観念したように携帯を離してくれた。
全く。ほんま悪ガキやわ。
なんて思いながら携帯の画面に目をやるとそこには送信中の文字が・・・。
は?なんで!?
私は慌ててキャンセルを押そうとしたが間に合わず送信完了の文字が表示されてしまった。
「冬華ぁぁぁ!!!!」
なにこのベタな感じ。
友達とふざけてたら間違って送信してしまった。なんて・・・。
この怒りを誰にぶつければいいか分からなくこんな状況を作った冬華にその矛先は向いた。
「え、え?なになに?」
お弁当を広げようとしていた冬華は急な私の怒りに素で驚いている。
そんな冬華に携帯を軽く振ってやると察しのいい冬華には通じたようで「まさか?」と窺いながら呟く。
「そのまさかやわ!バカ」
冬華はそれを聞き、そんなベタなwとお腹をかかえ笑いだした。
ほんといつもいたずらばっかりしてこうやって一人笑うんだからタチが悪い。
ひとしきり笑い終わると冬華が話しだした。
「まぁそこまで変なこと書いてるわけちゃうしいいやん」
もう呆れるしかない。
この悪びれる様子もなく、他人事だと気にしてないあたりなど。
でも二カっと可愛く笑うと憎めないのだ。
ほんと小悪魔め。
とりあえず冬華のいたずらでお昼休みも残り少なくなってきたのでお弁当を食べることにする。
まだ若干笑いが止まらない冬華の様子を見ながらの食事は気分がいいとは言えない。
「おー美味そうやな!」
廊下側の席でお弁当を食べていた私たちに向けられた声がした。
廊下を歩いている時に目に付いたのだろう、窓から身を乗り出して話しかけてきた。
彼の名前は犬飼 渚(いぬかい なぎさ)。
黒のスーツをビシッと着こなしているが胸元のボタンは3つほど空いている。
23歳独身で女子生徒からかっこいいと評判で生徒からは犬飼の犬から取ったのだろうワンちゃん先生と呼ばれる私たち2組の副担任である。
担当教科は数学でデジタル写真部の顧問。
そしてそのデジタル写真部を作ったのが私と冬華である。
なにかと関わりのある先生である。
「あげませんよ」
冬華は素っ気無く答えて持っていた弁当箱を先生から離す。
「なんでやーケチやな」
ブーブーと子どもみたいに口を尖らせる姿は先生というより同い年の男子みたいである。
そういうフランクな部分も生徒にとって関わりやすく人気の要素なのだろう。
しばらく冬華と先生のやり取りを微笑ましく見ていると急に先生から助けを求められた。
「今井がすごいいじめてくるんやけどー助けてや」
今井というのは冬華のことだ。
「いやー冬華になに言ってもねww」
乾いた笑いで軽く躱す。
ほんと君たちは俺に冷たいよね。先生悲しいよ。と涙を拭く仕草をする。
冬華がその仕草に気を取られた瞬間、先生の手がお弁当箱に伸びあえなく玉子焼が奪われてしまった。
「隙あり。ごちそうさま」
ニコっと笑い満足したように先生はひらひらと手を振り去って行った。
冬華は悔しそうに先生が去っていった方向を見ているだけだった。
いつもは余裕があり意地悪なんてしてしまう冬華だが先生の前では逆に丸め込まれてしまう姿が拝めて傍から見ているとおもしろい。
こんなことを思う私も冬華と変わらず少し小悪魔要素があるのかしら。なんて思ったりも。
昼休みも残り1分程になり何気なく携帯を見ると翔から返信が来ていた。
連絡先を教えてもらってその日に登録お願いしますと送っただけで後は1度も送っていない。
チャットと違ってなんだか用事がないと気軽にメールを送ってはいけない気がして手をつけにくい。
「おーい。なにしとんの?」
前の席の冬華は後ろの席の私の顔を覗き込むようにしてこちらを向く。
「もう、さっきからずっと携帯の画面見てるけど?」
そう言いながら冬華は私から携帯を取り上げて画面を見る。
その画面には翔のアドレスだけ入力されているメール作成が表示されていた。
「ちょっとー勝手に見るな」
冬華から取り上げられた携帯を救出するべく手を伸ばしたが冬華の長い腕には届かずあっけなく空振りした。
なんせ私は150cmにも満たないチビ、良く言えば小柄な女子だから冬華のような身長の高い人にはいつも振り回され遊ばれるのだ。
「乙女やな~何?メールしたら向こうに迷惑かな?とかなんとか思って送られへんとか??」
全くの図星だが冬華のその馬鹿にしたような物言いに少しムッとなる。
「ごめんごめんwそんなふくれんとって」
私の変化に気づいたのか冬華がなだめる。
それでもまだ携帯を返す気がないらしくずっと私の携帯を握り締めたままだ。
そして持っていた携帯を冬華が操作し始めた。
私はびっくりしてまた携帯に向かって手を伸ばしたが再び躱される。
冬華がなにか入力し終えたのか手が止まりその画面を私に見えるように向けた。
『翔!!!ひさしぶり~~~((o(。 >ω<。)o))
今何してんの??私は今昼休みでお弁当食べてるよん♪』
なんじゃこれ!!
異常にテンション高いし昼休みではあるけど弁当は食べてないし、なにより語尾のよん♪が自分に不釣り合いすぎて気持ち悪い。
たった2行でこんなにツッコミどころのある文をつくれるとは…。
「返して!変なこと書かんとってよ。なにこのテンション高いメール。相手ドン引きやわ」
パッと冬華から携帯を取り返そうとして触れるが冬華は携帯を離そうとしない。
そんな冬華に鋭い目線を送ると観念したように携帯を離してくれた。
全く。ほんま悪ガキやわ。
なんて思いながら携帯の画面に目をやるとそこには送信中の文字が・・・。
は?なんで!?
私は慌ててキャンセルを押そうとしたが間に合わず送信完了の文字が表示されてしまった。
「冬華ぁぁぁ!!!!」
なにこのベタな感じ。
友達とふざけてたら間違って送信してしまった。なんて・・・。
この怒りを誰にぶつければいいか分からなくこんな状況を作った冬華にその矛先は向いた。
「え、え?なになに?」
お弁当を広げようとしていた冬華は急な私の怒りに素で驚いている。
そんな冬華に携帯を軽く振ってやると察しのいい冬華には通じたようで「まさか?」と窺いながら呟く。
「そのまさかやわ!バカ」
冬華はそれを聞き、そんなベタなwとお腹をかかえ笑いだした。
ほんといつもいたずらばっかりしてこうやって一人笑うんだからタチが悪い。
ひとしきり笑い終わると冬華が話しだした。
「まぁそこまで変なこと書いてるわけちゃうしいいやん」
もう呆れるしかない。
この悪びれる様子もなく、他人事だと気にしてないあたりなど。
でも二カっと可愛く笑うと憎めないのだ。
ほんと小悪魔め。
とりあえず冬華のいたずらでお昼休みも残り少なくなってきたのでお弁当を食べることにする。
まだ若干笑いが止まらない冬華の様子を見ながらの食事は気分がいいとは言えない。
「おー美味そうやな!」
廊下側の席でお弁当を食べていた私たちに向けられた声がした。
廊下を歩いている時に目に付いたのだろう、窓から身を乗り出して話しかけてきた。
彼の名前は犬飼 渚(いぬかい なぎさ)。
黒のスーツをビシッと着こなしているが胸元のボタンは3つほど空いている。
23歳独身で女子生徒からかっこいいと評判で生徒からは犬飼の犬から取ったのだろうワンちゃん先生と呼ばれる私たち2組の副担任である。
担当教科は数学でデジタル写真部の顧問。
そしてそのデジタル写真部を作ったのが私と冬華である。
なにかと関わりのある先生である。
「あげませんよ」
冬華は素っ気無く答えて持っていた弁当箱を先生から離す。
「なんでやーケチやな」
ブーブーと子どもみたいに口を尖らせる姿は先生というより同い年の男子みたいである。
そういうフランクな部分も生徒にとって関わりやすく人気の要素なのだろう。
しばらく冬華と先生のやり取りを微笑ましく見ていると急に先生から助けを求められた。
「今井がすごいいじめてくるんやけどー助けてや」
今井というのは冬華のことだ。
「いやー冬華になに言ってもねww」
乾いた笑いで軽く躱す。
ほんと君たちは俺に冷たいよね。先生悲しいよ。と涙を拭く仕草をする。
冬華がその仕草に気を取られた瞬間、先生の手がお弁当箱に伸びあえなく玉子焼が奪われてしまった。
「隙あり。ごちそうさま」
ニコっと笑い満足したように先生はひらひらと手を振り去って行った。
冬華は悔しそうに先生が去っていった方向を見ているだけだった。
いつもは余裕があり意地悪なんてしてしまう冬華だが先生の前では逆に丸め込まれてしまう姿が拝めて傍から見ているとおもしろい。
こんなことを思う私も冬華と変わらず少し小悪魔要素があるのかしら。なんて思ったりも。
昼休みも残り1分程になり何気なく携帯を見ると翔から返信が来ていた。