寝ているカノジョ
*
バスの中では基本、
爆睡する俺だけど、
今日は仁奈が気になって寝られない。
「ぎゃはははははは!
はーい、仁奈ちゃんの負け~」
仁奈はあんなに具合悪そうなのに
悠希とその周辺の奴らは
仁奈をゲームに参加させていた。
寝かせてやれよ、あいつら。
高速道路の途中で、
バスはサービスエリアに入った。
「トイレ休憩を15分とります」
担任のその言葉に、みんな財布を持って、席を立つ。
売店でお菓子やジュースを買うんだろう。
「瀬野、お前も行くか?」
岡野も財布を右手に、俺に声をかけた。
仁奈の方を見ると、悠希に腕を引かれ
バスから降りていくところだった。
「おう、俺も行く」
俺は岡野にそう答える。