寝ているカノジョ
「光くん…なんか、怖いよ…」
「もう、怖くないから。泣くな」
俺は仁奈の両手を引いて、
体を起こしてあげた。
そして、静かに涙を流す仁奈を
そっと抱き締めた。
「ごめん、ほんとに」
俺は仁奈の背中を優しくさする。
何やってんだろ、俺…
やっぱり恋すると、
自分で自分が分からなくなるな。
しばらくして仁奈が
俺からそっと離れた。
「悠希のとこ、行きてーの?」
「私、光くんに言わなきゃいけないことがあるの」
待て…
俺は聞きたくない…
実は悠希と付き合ってて、
今日は一緒に寝るんだ、なんて…
仁奈が話せば、
俺の初恋は終わるんだ…
俺の気持ちは届かないまま…?