寝ているカノジョ
「とにかく」
仁奈はピシッと背筋を伸ばした。
「光くんはかっこよすぎてドキドキしちゃうの!」
何だよそれ…
俺にドキドキするって…
俺だってお前にドキドキしてんだぞ。
そんなこと言えねーけど。
*
バスが走り出して、クラスの奴らは
それぞれ、お菓子を食べたり、ゲームをしたり、
騒がしくしていた。
俺と仁奈はというと…
「……」
「……」
お互い何も話さない。
まぁ、俺たちは前からそんなに話す仲じゃなかったしな。
「ねぇ~城井ちゃんと瀬野君、
付き合ってるってまじなの?」
前の席に座っていた女子たちが、ひょっこりと頭を出した。
「……」
えっと…